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水球女子代表の合宿打ち切りが波紋、男子監督の批判は問題提起ではないか

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Thinstock/Photo by cmcderm1

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 8月にインドネシア・ジャカルタで開幕する第18回アジア競技大会2018に出場する水球女子日本代表が横浜市内で行っていた強化合宿が、7月19日、予定の日程を終えずに打ち切りになったことが分かった。スポーツ報知が伝えたところによると、猛暑の中で連日過酷な練習を行った上、水球男子の日本代表監督である大本洋嗣氏(51)が18日にSNS上で女子代表選手を厳しく批判したことが影響しているのだという。その批判を受けた選手たちの動揺が大きく、複数の選手が「合宿は続けられない」と申し出たため合宿の継続が困難になったとされている。五輪への強化に重要となるアジア大会を一部選手が辞退する可能性もあり、波紋は広がりそうだ。

 水球女子日本代表の強化合宿は、7月16日~21日の予定だった。13名の選手たちは、8月開幕のアジア大会を控え、今季より就任した本宮万記弘監督のもとで、早朝5時台~午後9時という長時間に及ぶ、スパルタ式の練習を行っていたとされる。練習場の野外プールは気温35度を超える炎天下で、正式なトレーナーは置かれず、選手たちの中には、日光によるやけどのような症状や過呼吸を訴える者もおり、かなり疲弊していたという。その時点で、練習方法や健康管理について見直すべきだったのではないかと、門外漢の部外者は思ってしまうが、選手たちがショックを受けたのは過酷な練習ではないというから問題は複雑だ。

 18日に、練習試合での接触プレーを巡り、対戦相手の大学の指導者が、水球女子日本代表選手に罵声を浴びせる事態が発生。さらに同日深夜、水球男子日本代表の大本洋嗣監督が、Facebookで女子選手たちのプレーを批判する文面を投稿した。現在は削除されているが、6月に行われた関東学生リーグ女子決勝で選手たちの水着が5枚破れたことについて<この悪質行為は全て日本代表選手によるもの>と断罪し、また、日本女子代表は世界では通用しないという趣旨のコメントもあった。これを目にした女子代表選手たちはショックを受け動揺し、複数の選手たちが合宿離脱を申し出たという経緯のようだ。

 日本水泳連盟水球委員会は事態を重く見て、強化合宿を19日で打ち切ったという。日本水泳連盟は7月20日、水球委員会に今回の合宿における事実関係の調査を命じており、調査報告の結果が待たれる。

 水球女子日本代表は、2020年東京五輪に開催国枠で出場することが決まっている。女子の五輪出場はこれが史上初だが、水球男子日本代表は2016年リオ五輪で32年ぶりに出場を決め、“ポセイドンジャパン”として一躍脚光を浴びた。これまであまり注目されてこなかった競技だったこともあり、大学を卒業した選手たちの練習環境は整っていたとは言い難かったが、2010年に新潟県柏崎市でクラブチーム「ブルボンウォーターポロクラブ柏崎」が発足した頃から、支援の輪が広がるようになってきたという。

 水深2メートルの水中でボールをゴールに入れた点数を競い合う水球は、「水中の格闘技」とも呼ばれ、2016年リオ五輪で男子日本代表を務めた志水祐介氏はインタビューで、その激しさを次のように語っていたことがある。

<ポジションによっては、ボールを持つよりも相手との接触のほうが多く、常に水中でつかみ合いをしている感じ>
<手首、足、水着、ヒドいときは帽子も、とりあえずつかめるところをつかんで、お互い反則に見えないように攻防を繰り返しています>
<ルール上、つかみ合うことは問題ないんですけど、打撃は基本NG。ただ、水中はどうしても死角になりますし、試合中はヒートアップしますので、蹴られるのは当たり前です>

 スポーツに怪我はつきものとはよく言われるが、志水氏は4年間で<鼻を1回とあばらを2、3本>折った。それでも<骨が1、2本折れようが試合には出ますし、関係ないですよ>と明かしており、まさに水中の格闘技かと思わされる。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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