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吉岡里帆主演『健康で文化的な最低限度の生活』の生活保護バッシングへの挑戦

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関西テレビ『健康で文化的な最低限度の生活』公式サイトより

関西テレビ『健康で文化的な最低限度の生活』公式サイトより

 7月17日に第一話が放送されたドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)。生活保護やケースワーカーを描いた同作は、今の日本社会にはびこる生活保護への誤解、そして生活保護バッシングへの挑戦と言えるかもしれない。『健康で文化的な最低限度の生活』の初回視聴率7.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、今クール2桁発進で好調とされるフジテレビのドラマの中ではもっとも低い数字だった。ドラマの視聴者が集う女性用ネット掲示板では、「なんとなく見てたけど、やっぱり吉岡里帆が無理」といった吉岡里帆アレルギーの人や、「田中圭とアラタ目的で観た」という作品の内容に無関係な反応が多く、「“健康”は分かる。でも“文化的”は生活保護者にいらなくない?」など生活保護バッシングにつなげる感想も目立った。

 『健康で文化的な最低限度の生活』の主人公は、生活保護受給者を支援する生活課に配属された義経えみる(吉岡里帆/25)。新人ケースワーカーの彼女が社会福祉制度の現実を知り、周囲と関わりながら成長していくことになる。役所職員に井浦新(43)や田中圭(34)、生活保護利用者に遠藤憲一(57)が配され、脇を固める俳優陣は豪華だ。制作サイドの気合いがうかがえる。

 初回視聴率7.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、今クール2桁発進で好調とされるフジテレビのドラマでは低い数字。ドラマの視聴者からは、「なんとなく見てたけど、やっぱり吉岡里帆が無理」といった吉岡里帆アレルギーの人や、「田中圭と新目的で観た」という作品の内容に無関係な反応が多い。さらに、「“健康”は分かる。でも“文化的”は生活保護者にいらなくない?」など生活保護バッシングも目立った。

 このバッシングが激化したのは、2012年に発覚した次長課長・河本準一(43)やキングコング・梶原雄太(37)の母親らの生活保護不正受給問題が大きな話題になってからだろう。一般家庭の何倍も稼ぎがあるであろう売れっ子芸人の彼らが、母親らを扶養せず生活保護を“不正に”受給していたという報道により、生活保護=不正受給という強固なレッテルが貼られることとなった。昨年12月には、日本テレビが生活保護バッシングを煽る番組を放送したことも記憶に新しい。

 生活保護バッシングの風潮自体は目新しいものではない。昨年、神奈川県・小田原市で生活保護業務を担当する職員が「HOGO NAMENNA」(保護なめんな)などと書かれたジャンパーを着用していたことが明るみに出たが、このジャンパーはなんと10年前の2007年から着用されていた。さらにこの騒動が話題になった時、小田原市の姿勢を肯定する人の意見も多かった。それほどまでに生活保護は誤解されてしまっている。それから一年半が経過し、小田原市は生活保護利用者の自立支援に舵を切っているが、ジャンパー騒動は知っていても現在の小田原市の動向は知らないという人が大半ではないだろうか。

 ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』で描かれているのは、不正なやり方で税金を貪り、ラクをして生きるような生活保護利用者ではもちろんない。柏木ハルコによる同名漫画の中では、生活保護利用者が税金を食い物にしているという偏見が誤解ということを一貫して伝えている。どのような事情で、どういった人たちが、そのような状況で暮らしているのか――1人1人、全く違うのが現実だ。そしてそこには、のっぴきならない事情がある。

 心や体の健康を崩して働けなくなる可能性は誰にでもある。自立を支えるセーフティネットの必要性は自明だ。そもそも好き放題自由に遊んで暮らせるような額を、税金から受け取っている生活保護利用者は果たして「多い」のだろうか? 基本的に生活保護は自立を支援するために支給されるもの。また、日本には年金をもらえない高齢者や年金額の非常に少ない高齢者も暮らしており、じゃあ彼らが今から“健康で文化的な最低限度の生活”に必要な額を稼ぐ仕事が出来るかといえばそれも難しいだろう。

 生活保護は自分に関係ないと思って、盲目的に受給者を叩く人にこそ『健康で文化的な最低限度の生活』は響くかもしれない。第2話は、7月24日の21時から放送される。

(ボンゾ)

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