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木村拓哉が『検察側の罪人』で求められた高いレベルの役づくり

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映画『検察側の罪人』公式ホームページより

 木村拓哉と二宮和也の共演で話題の映画『検察側の罪人』が824日に公開される。二人は今回の作品が初めての共演作。同じジャニーズ事務所のタレントとして長く仕事をしていながら、これまで一度も同じ場で演じる機会がなかったというのは意外な気もする。ここ数年でいろいろあってジャニーズ事務所内部の勢力図が変わったからこそ実現した仕事なのかもしれない。それはともかく、初めての共演でお互いにどんな印象をもったのだろうか? 木村拓哉と初めて演技を共にした二宮和也のなかで、特に印象深かったのは、現場の空気に応じて臨機応変に繰り出される木村のアドリブであったという。

 『検察側の罪人』は雫井脩介の原作小説を映画化したもの。監督は『日本の一番長い日』『駆込み女と駆出し男』『突入せよ!あさま山荘事件』などの原田眞人。そのなかで、木村拓哉は『検察側の罪人』の主人公となる検事・最上毅を演じる。

 物語は、最上が担当する老夫婦刺殺事件の容疑者リストのなかに、松倉重生という男の名前を見つけるところから展開する。松倉は、20年以上前に起きた女子中学生殺害事件で犯人ではないかと疑われていたものの、証拠不十分で逮捕にまではいたらなかった人物。その事件での被害者の中学生は最上が妹のように可愛がっていたという過去があり、最上はなんとしてでも今回こそは松倉を捕まえようと感情的になっていく。松倉の逮捕ありきでストーリーをつくりだし、だんだんと検事としての職分を逸脱した行動までとるようになっていってしまう。二宮和也演じる最上の部下の新人検事・沖野啓一郎は、暴走していく最上を食い止めるべく、最上と対峙する……というのがあらすじだ。

 「正義とは何か?」という問いを突きつけるこの映画。最上と沖野が対峙するシーンは『検察側の罪人』のハイライトで、そこで繰り広げられる木村と二宮の演技対決は映画の大きな見どころとなっている。そこで二宮の印象に残ったのが、木村のアドリブだった。

 「UOMO」(集英社)20189月号に掲載された二人の対談のなかで、二宮は木村との初めての共演で感じたことを<木村くんは、何て言ったらいいのかな、やることすべてが正解になっちゃうんですよね。ずっとそういうイメージ。例えば、歌を歌っていても、ちゃんと譜割りどおりに歌うことがきっと正しいんだろうけど、木村くんはその日の気分とか現場の雰囲気で急に変える。でも、それが正解になるんです>と語る。

 確かに、木村が歌うときに本来のメロディーを即興的に変えるシーンは見覚えのある人も多いだろう。それと似た作業が『検察側の罪人』の撮影現場で行われていたようだ。そういった演技はクランクイン初日からいきなり行われており、二宮は<今回の映画だって、台本を細かく照らし合わせていったら、だいぶ違うことやっていると思います(笑)>と語っている。

 木村のアドリブが<正解>になる理由を、二宮は<完全に最上というキャラクターが入っているから、すべての動きがものすごく自然なんです>と分析するが、ただ、それは、原田眞人監督の演出や演技指導によるものも大きかったようだ。

 「SODA」(ぴあ)20189月号のインタビューで木村は、原田監督について<原田監督が、いわゆる“お芝居”することを許さないというか……何ていうのかな、上手にやってますよというお芝居は全部排除されていくんです>と振り返る。

 芝居が抜けた演技をするためには、役について徹底的に考え、掘り下げることが求められる。そこに向かうにあたっての原田監督による演技指導は厳しかった。監督はそれぞれの役柄について、脚本にない部分まで掘り下げることを要求している。役者に「この人は映画に映ってない普段の日は何やってると思う?」といった質問を投げかけることもあり、リハーサルを通じて、演じる役をひとりの生きた人間として構築させた。

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