
生き延びるためのマネー/川部紀子
こんにちは! ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。
筆者の新刊が発売となりました。タイトルは『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる!お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)。「老後資金」と書かれていますが、若いうちに読んで行動に移した方は、後になってラッキーだったと思える一冊になっています!
ファイナンシャルプランナーという仕事をしていると、公的年金やその不足分を補う役目の確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)のことを伝える機会が多くあります(老後が不安なのに、お金が貯まらない? そんなあなたにオススメしたい「iDeCo」の超基本を解説!)。しかしいま、それ以上に注目が集まっているのがNISAです。最近は「NISAってどうなの?」「NISAやった方がいい?」といった、一言で答えるのが難しい質問をされる機会が増えてきました。ということで、今日はNISAについてのカンタン解説をしたいと思います(ちなみに、以前も「つみたてNISA」についての解説をしています。あわせてお読みください)。
NISAってなに?
NISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAと3種類あります。まずは「NISA」とは何なのか? から解説します。
通帳記入をしたことがある人は、時々わずかな利息が入金されていることをご存知だと思います。しかし利息から税金が差し引かれていることを知っている人は少ないかもしれません。もともと少ない利息から20.315%が差し引かれた残りが入金されているのです。
この仕組みは、投資も原則は同じで、儲けが出るとそこから約20%の税金が引かれてしまうのが法律のルールとなっています。例えば、投資で10万円儲けが出たとすると、約20%の2万円ほど差し引かれてしまいます。儲けが大きければ大きいほど20%が差し引かれるガッカリ感も大きくなります。
そこでNISAの登場です。NISAは一言で言えば「投資で儲けても税金がかからない制度」のこと。「NISA口座」の枠内で投資をした場合は、儲けの中から20%の税金を差し引かれなくて済むのです。
NISAの法律名は「少額投資非課税制度」。まさに非課税が魅力の投資の制度というわけです。
国が税金をサービスするわけですから、国としても、それだけ預貯金として貯め込まないで投資をしてほしい、と考えているわけです。
初めてなら「つみたてNISA」がオススメ
自分自身のための投資には、「一般NISA」と「つみたてNISA」のふたつの選択肢があります(子、孫のための投資「ジュニアNISA」は割愛します)。
「一般NISA」は、タイミングを計って、通常の株や投資信託にある程度まとまったお金を投資するものです。それに対し、「つみたてNISA」は毎月、毎週など、あなたが決めたタイミングに決めた金額をコツコツと積み立てていくスタイルです。
投資初心者ということであれば、個人的には「つみたてNISA」がオススメです。代表的な理由は以下の3つです。
・積立によるリスク軽減効果があるので安心感が高い(専門的にはドルコスト平均法といいます)。
・投資のタイミングを計る必要がない。
・対象商品が絞り込みされているので選びやすい。
まとめると、一般NISAに比べると、判断することが少なく、ドキドキハラハラ感も軽減されると言えるのが「つみたてNISA」の利点なのです。
つみたてNISA、やった方がいい?
「NISA」について質問される方は「投資」に少し関心がある方だと思います。その場合、まずは、もっとも税金面でお得な「確定拠出年金」で投資信託を選択し、その次につみたてNISAの活用をするのが良いでしょう。
多くの方が老後の生活を送るためには、年金だけでは足りません。ですから老後専用の確定拠出年金をしっかり活用することが重要になります。しかし確定拠出年金には掛金の上限があります。また、60歳以降に受け取るお金を積み立てていく制度ですから、60歳にならないと受け取ることができません。もっと投資をしたい場合や、60歳になる前に使いたいお金を投資する場合は、「つみたてNISA」を検討すると良いと思います。
ただし、専業主婦、パート主婦など、所得税・住民税がかかっていない方々は、確定拠出年金なしで、「つみたてNISA」を利用するのもOKです。こうした方々は、iDeCo(個人型 確定拠出年金)の最大のメリットである所得税の全額控除を受けられないことと、必ず発生する費用があるからです。
実際に申し込む際は、口座を開設しなくては始まりません。初めての場合、もっとも手っ取り早いのは、街の金融機関ではなく、ネット証券か直販の運用会社だと思います。まずは「ネット証券 つみたてNISA」「直販 投資信託」で検索してみましょう。
筆者の新刊にも投資の基礎知識や投資信託、iDeCoや企業型DC、つみたてNISAのことも書かれているので読んでみてくださいね。

『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる! お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)