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創業213年の老舗が生んだ「くず餅乳酸菌®」のかき氷が、この夏ヤバい!

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かき氷シロップ一杯に10億個の乳酸菌

今や70%の女性が「菌活」中

 醤油、味噌、納豆、漬物など日本は発酵食品大国、最近では健康によいと甘酒がブームになっている。発酵には麹菌、納豆菌といった菌が必要だが、その中でもっともポピュラーなのが乳酸菌。ヨーグルトや乳酸菌飲料、サプリメントといった数多くの乳酸菌入りの商品が販売され、チョコレート、ポテトチップ、カップ麺、豆腐も登場している。

 TPCマーケティングリサーチによると、ヨーグルト・乳酸菌飲料市場は年々伸び続け、17年度は約5000億円の巨大なマーケット。健康のため、体に良い菌を積極的に食事から採り入れる「菌活」も生活者の関心が高く、トレンド総研の「菌活」についてのインターネット調査でも、70%の女性が、「菌が含まれた食品を摂取するように意識している」と回答している。

気功師によって偶然見つかった「くず餅乳酸菌®」パワー

 そうした中で今夏、乳酸菌入りかき氷がくず餅の老舗「船橋屋」から発売された。6月から「亀戸天神前本店」、「亀戸駅前支店」、「柴又帝釈天参道店」、「コレド室町店」、「羽生PA(上り)鬼平江戸処店」、「こよみ広尾店」で販売を開始した。

 「天神(黒蜜黄粉)」、「宇治金時」、「苺ミルク」、「あんず」、「夏みかん」、「青梅」(亀戸天神前本店限定)の6種類で、シロップ一杯に10億個の乳酸菌が含まれている。発売早々、反響を呼び、猛暑や物珍しさも手伝って、1日150杯以上売れるときもあり、苺ミルクと宇治金時が人気、一部の店舗を除いて9月まで展開している。

 使用している乳酸菌がちょっと変わっている。くず餅由来の乳酸菌「ラクトバチルス属パラカゼイ種」を培養した、「くず餅乳酸菌®」。くず餅は和菓子で唯一の発酵食品で、船橋屋は、原料の小麦粉を練り、水洗いしてでん粉を沈殿させ、450日もかけて乳酸発酵させる。その作り方は創業して200年以上たった今も基本的には変わることはない。

 乳酸菌の働きによってくず餅は生まれるわけだが、渡辺雅司社長は、2010年、ひょんなことからその乳酸菌の存在を知ることになった。亀戸にある工場に知人の紹介で気功師が訪れたとき、不思議なことにただならぬ気配を感じて体がけいれんし始めた。でん粉の入った原料タンクの上澄みを捨てていると話すともったいない、ものすごいパワーがあると言われた。半信半疑だったが専門家に研究を依頼、2年前に「くず餅乳酸菌®(学名ラクトバチルス属パラカゼイ種」という特有の乳酸菌を発見し登録商標も行った。

「くず餅乳酸菌®」は、1805年から生き続けている日本古来の乳酸菌

 そして、男女8名にモニターになってもらい、くず餅乳酸菌サプリを3カ月摂取したところ、全体的に悪玉菌の改善が実証でき、「排便の回数が増え痩せた」、「飲み続けていくと体のだるさがなくなり体調が良い」、「飲み続けると肌の調子が良い感じがする」といった、モニターの声も寄せられた。そこで、手始めにかき氷のシロップに採り入れた。

 くず餅乳酸菌®は、船橋屋が創業した文化2年(1805年)から生き続けている日本古来の乳酸菌で、植物性なため、乳アレルギーの人でも摂取が可能、菌体と乳酸菌生産物質を凝縮すれば、さらにさまざまな活用が可能となる。

 今後は、羊羹、ぜんざい、甘酒などさまざまなアイテムを開発していく計画だが、菓子にとどまらず、今秋には、マカなど他の成分も加えた栄養系ドリンクを展開する予定だ。さらに、生菌に比べて品質が安定する殺菌済みの菌を活用し、すでに、昨年から医療用のカプセルを販売しており、ジェル化した一般向けのサプリメントの分野にも進出する。大手化粧品メーカーと連携して化粧品の開発にも取り組み中で、健康・医療からから美の領域へも事業を拡大させていく。

 こうした新たな事業を進めていくために、社内ベンチャー的な組織を立ち上げ、それぞれのターゲットを見極めて明確にした上で、アプローチし新たなマーケットを開拓していく。

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くず餅の船橋屋ではなくバイオベンチャーの船橋屋、という未来も?

老舗和菓子メーカーからバイオベンチャーへ

 予期せぬ出来事から始まって、くず餅乳酸菌®の大発見に至ったわけだが、それを出発点に、新たなビジネスを展開し始めた船橋屋。渡辺社長は「くず餅一筋、真っ直ぐに」という経営理念のもとに、「発酵の力で日本を元気に」のビジョンを掲げて、くず餅で発酵和菓子文化を次世代へ継承する事業と、くず餅乳酸菌®による健康と美を提案する事業に同時に取り組んでいこうとしている。

 日本には 創業から100年以上の企業が10万社あると言われている。200年以上の企業も約3000社もあり、船橋屋もその1社。歴史のあるヨーロッパでさえ、ドイツで約800社、オランダで約200社にすぎず、日本は突出している。

 老舗は伝統を守っているだけでは続かない。江戸から明治、昭和から平成とその時々で時代の変化に合わせてイノベーションが必要だ。社会や経済など取り巻く環境や、生活者のニーズや嗜好の変化を見極め、的確に手を打っていく。日本の老舗にはとりわけその対応力があったために生き残ることができた。

 10年後、船橋屋はバイオ企業に変身しているかもしれない。くず餅の船橋屋ではなくバイオベンチャーの船橋屋、ただ、その看板でもくず餅は売り続けているだろう。

西川立一

株式会社ラディック代表取締役。流通ジャーナリスト。マーケティングプランナー。慶応義塾大学卒業。大手スーパー西友に勤務後、独立し、販促、広報、マーケティング業務を手がける。流通専門紙誌やビジネス誌に執筆。流通・サービスを中心に、取材、講演活動を続け、テレビ、ラジオのニュースや情報番組に解説者として出演している。

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