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東京医科大の女子受験生抑制理由が本末転倒 女医の離職防止策は構造の改善以外にない

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Thinstock/Photo by SARINYAPINNGAM

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 私立の東京医科大学が今年2月に実施した医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し、女子の合格者数を意図的に抑えていたことが関係者の話でわかったと、読売新聞が報じている。

 読売新聞によると、東京医科大学は、2010年の医学部医学科の一般入試で女子合格者が38%(181人中69人)に達したため、2011年頃から医学部医学科の女子合格者の抑制を開始。関係者は「いわば必要悪。暗黙の了解だった」と語っているという。<同大出身の女性医師が結婚や出産で離職すれば、系列病院の医師が不足する恐れがあることが背景にあったとされる>そうだが、2010年代に入ってもなお、このような男女差別がまかり通っているのである。また、同大学病院では、緊急手術が多く不規則勤務の外科で<女性医師が敬遠されがちで、「女3人で男1人分」との言葉もささやかれている>という。

 2018年度に実施された東京医科大学医学部医学科一般入試における女子合格者の割合は18%。2017年度の医学科一般入試での女子合格者は37%で、2016年度は29%だった。

 私立大学医学部の受験は「女子に不利」だとの説は半ば公然の事実のように語られてきた。受験生向けの某webサイトでは、「公然と女子の合格者を下げることはしなくても、女子が苦手にしがちな数学の難易度を上げたり、女子が比較的多く選択する生物の難易度を上げる、面接の配点を下げるなどにより間接的に女子の合格率を下げている大学もあるようです」としつつ、苦手分野の克服を女子受験生に勧めている。しかし「公然と女子の合格者を下げること」を東京医科大学はしていたのだろうか。女性医師の離職を防ぐべく打つ対策が、「そもそも女性医師を育てない」だったとは、ありえない選択だ。

 東京医科大学は、2015年12月に男女共同参画宣言を出し、2016年2月に学長の“イクボス宣言”とともに女性医師のロールモデルを複数提示。2016年10月からは<多様性のある大学づくりを積極的に推進するため>、<人種・性別・国籍・障がいの有無及び年齢等に関わらず、また短時間勤務、臨時職員、非常勤職員等雇用形態においても、多様な属性を持った人材が本学の人的資源として活躍できるような支援を行う>としてダイバーシティ推進本部を設置していた。

 また、2013年度には文部科学省科による学技術人材育成費補助事業「女性研究者研究活動支援事業」に採択され、2014年1月に男女共同参画社会の国際シンポジウムを開催したこともあった。東京医科大学と東京女子医科大学に在籍する教職員を対象とした「女子医大・東京医大ファミリーサポート」もあり、少なくとも表向きには女性職員も働きやすい環境を積極的に整えようとしていたように見える。しかし、実情は機能していないのだろうか。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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