もはや「月9」に王道のラブストーリーはいらない
しかし、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』を実際に観てみると、沢村一樹のハマり具合にはうなり声を上げてしまうほど。もともとシモネタが大好きで、バラエティ対応もうまい沢村。哀しき過去とコメディタッチなセリフ回しの切り替えも見事だし、アクションシーンも想像以上に美しい。謎の失踪を遂げた上戸彩がピンポイントで存在感を出してくるのだが、その共存関係もうまくいっている。
また、犯罪を未然に防ぐ「ミハンシステム」をもとに捜査を進めるという設定自体が、海外ドラマ『パーソン・オブ・インタレスト』と丸カブリなのだが、沢村の51歳とは思えないスタイルや端正な顔立ちが海外ドラマ的世界観に見事にマッチし、その近未来すぎる設定がナチュラルに見えてほどなじんでいる。もはや「月9」に王道のラブストーリーなどいらない。そう思ってしまうほど、沢村の芝居に目を奪われてしまうのだ。
長らく迷走し続けてきた「月9」ドラマ。現在オンエア中の『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』が作品的にも視聴率的にも成功したら――。これぞ、真の「脱・月9ドラマ」と言えるのかもしれない。
【文/藤原三星(ロボティア編集部)】
1 2