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女医を増やしても「眼科医と皮膚科医ばかりになっちゃう」との嘆きに欠けている視点

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西川史子instagramより

 東京医科大学が一般入試で女子および3浪以上の男子に一律減点を行っていたとされる問題が波紋を広げている。日本医師会は8月3日、横倉義武会長名義で<事実であるとすれば、入試の段階で男女差別が行われていたことになり、受験生に対する公平性、平等性を欠く行為><女性医師は確かに出産、子育てなどによって離職、休職せざるを得ないケースがあるが、今回のように入試段階で性別のみを理由に調整するようなことは許されない><女性が働きやすい環境整備を進めることが大事>との見解を発表。東京医科大学による真相究明と、所管省庁である文部科学省にも徹底した調査を求めている。東京医科大は内部調査を進めており、報告が待たれる。

 また、同日夕方、東京医科大前には約100人が集まり、抗議活動が行われた。片山さつき参院議員は「この際他校も調査して徹底的に膿を出すべき」、立憲民主党副代表の蓮舫参議院議員も「一律減点されなかったら合格したであろう女子受験者の人生を何だと思っているのか」と憤るが、一方で現役の女性医師から「男性ができることと女性ができることは違う」「(女子の入学者数を抑制したいのは)当たり前です」との発言も出た。医師でタレントの西川史子氏である。

 西川史子氏は8月5日放送の『サンデージャポン』(TBS系)で、東京医科大入試の女子減点について<当たり前です>と肯定。以下、番組での西川氏の発言だ。

<(医学部入試での女子減点は)東京医大に限らないです。全部がそうです>

<だって上から採っていったら、女性ばっかりになっちゃうんですよ。女の子のほうが優秀なので。そうすると、眼科医と皮膚科医だらけになっちゃうんです、世の中が>

<重たい人の股関節脱臼を背負えるかって言ったら、女性は無理なんですよ。だから女性の外科医は少ないです。やっぱり外科医になってくれるような男手が必要なんです。お腹が大きくて手術ができないんです>

<男性ができることと女性ができることは違う>

 女子減点を「必要悪」として認める西川氏の考えは、東京医科大学の論理をそのまま踏襲している。

 しかしながら、男性・女性の違い以前に、一部の医療現場で過酷な労働環境が当然視されているところに根本的な問題があるだろう。オーバーワークかつ訴訟リスクも高い外科医や産婦人科医が不足傾向にあることは、長らく問題視されてきている。西川氏は、医学生が女子ばかりになると、世の中が<眼科医と皮膚科医だらけになっちゃう>と語るが、外科医や産婦人科医の労働環境を改善しなければ女子医学生だけでなく男子医学生も敬遠し、眼科や皮膚科に流れるのではないか。

 また、日本医師会の声明にある<女性医師は確かに出産、子育てなどによって離職、休職せざるを得ないケースがある>との記述も見逃せない。出産によって一時的な離職を余儀なくされる可能性があるのは確かに女性のみだが、子育てと仕事を両立できない背景には、やはり職場のオーバーワークや偏見があるだろう。

 医師に限った話ではなく、「女性はセクハラ問題があるから」「女性は男性より体力がないから」「女性は結婚や出産で辞めるから」といった理由で女性の採用を控える現場は未だに少なくはないのではないか。既存の働き方にまだまだいくらでも改善の余地があることに、目を向けなければならない。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

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