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東京医科大の不正入試「女性差別以外の何者でもない」 内部調査委員会が記者会見

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写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 今月2日に読売新聞が、東京医科大学が医学部医学科の一般入試で女子受験者の得点を減点していたことを報道した。このニュースには、ここまであからさまな女子差別が行われていたことに対する驚きの声があがる一方で、医師などから「以前からあったこと」「東京医科大だけの問題ではない」といった指摘も出ていた(東京医科大だけの問題ではない、女性の医学部合格者の不自然な少なさ)。その後、女子受験者だけでなく、3浪以上の男子も減点対象となっていたことも判明している。

 同大学は、前科学技術・学術政策局長の佐野太氏から便宜を受け、その見返りに佐野氏の子どもを不正合格させていた件で、内部調査委員会を設置している。同委員会は7日、調査報告書の内容を都内で記者会見。報告書では、特定の受験者に対する点数操作と、性別や現役・浪人などの属性を理由に点数操作があったことが認められていた。女子受験者への減点理由は、「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」ためだった、という。

 報告書および記者会見によれば、属性を理由とした点数調整は、平成18年度の入試以降にはすでに行われていた。具体的には、二次試験の小論文において、受験者全員の点数に0.8をかけた後、「現役~2浪男子に20点加点」「3浪男子に10点加点」「4浪男子に0点加点」「女子に0点加点」をしていた。4浪男子および女子受験者は100点満点を取っても80点しか得られなかったことになる。

 なお減点する割合や加点する点数は、毎年調整していたようだ。平成30年度の一般入試では、小論文の配点が増えたため、結果的に男子に加算される点数が平成29年度に比べて高くなっている。報告書で同委員会は「重大な女性差別的な思考に基づくものといわざるを得ず、強く非難されるべきもの」「女性差別以外の何者もでもない」と断罪している。

 東京医科大学は、「女性研究者研究活動支援事業」として、女性研究者の出産や子育てと、研究活動の両立支援のために2013年から2015年の3年間にかけて、文部科学省から8026万4000円が交付されている。「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティブティが下がる」として、不正な得点調整で入口を狭めて起きながら、補助金を受け取っていたのだ。

 報告書は最後に「長年にわたって東京医大において入試の公正・中立性を害するようなことが行われてきた可能性が判明した。特に、女性の受験者をただ女性だからという理由だけで差別してきたことに関しては、社会が女性の活躍を促進するべく様々な方策を施していることに真っ向から反対するもであって、断じて許されることではない」とまとめている。

 また今回の調査は、東京地検特捜部による強制捜査と同時に行われたため、物理的、人的、時間的制約の中で実施されたものであったとある。報告書を読むと、不正な得点調整が巧妙に行われていた様子を垣間見ることが出来る。この問題は、今回の報告書に記されている内容以上に根深いものだろう。

 女性であろうと、あるいは多浪していようと、入学試験を受けるための受験料は同じだけ払っている。一部では「当然のこと」「仕方ない」と大学側を擁護する声も上がっているようだが、この問題を容認することは、属性を理由とした様々な差別を容認することに繋がるだろう。

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