ライフ

リボ払い、絶対に陥ってはいけない3つの巧妙な罠

【この記事のキーワード】
リボ払い、絶対に陥ってはいけない3つの巧妙な罠の画像1

Thinkstock/Photo by Kwun Kau Tam

 家計管理において、「クレジットカードは無駄遣いにつながるため、使わない方が良い」という意見があります。私はクレジットカードの利用には功罪相半ばするものがあるため、一概に良いとか悪いとか決めつけることはできないと思います。しかしながらクレジットカードを利用するにあたってはできるだけやらない方が良いのが、カードローンやキャッシング等で金利のかかる借金です。中でもリボ払いは絶対やらない方が良いと私は考えます。

 「リボ払い=リボルビング払い」は多くのファイナンシャルプランナーの方たちも“これだけは絶対やってはいけない!”と指摘しています。私も同じ意見なのですが、リボ払い自体が「絶対悪」というわけではなく、その仕組みや本質を知らずに使っていたり、カード会社の巧妙な誘いに乗って知らず知らずの内に誘導されてしまって損をしたりしているということがもっと問題なのだと考えています。

 そもそもリボ払いというのは毎月の支払額(返済額)が一定金額に固定された借金と言ってよいでしょう。言うまでもないことですが住宅ローンにおける元利均等払いと同じように、支払の期間が長くなればなるほど支払う金利の総額は多くなります。ですからこれは全ての借金に共通して言えることですが、なるだけ早く返済したほうが良いのです。ところがリボ払いにはそうさせないような、そしてさらにリボ払い自体を利用しやすくなるような仕掛けが満載されていて、行動経済学の観点からすると非常に興味深いしくみになっています。そのしくみと危険な罠を以下に挙げてみましょう。

1.借金と感じさせない(認知バイアス)

 カードローンとかキャッシングローンといった言葉とは違って「リボ払い」という言葉には借金を感じさせる要素があまりありません。名前からして、単なる支払方法の一つと誤認してしまいますが、これは紛れもない借金です。借金ですから当然金利はかかりますし、その金利も決して低くはありません。だいたい年利で15%くらいの金利がかかります。超低金利時代の現在においてこれは驚異的な高金利です。このように借金であるにもかかわらず、そう感じさせない感じ方を行動経済学では認知バイアスといって、いわば“心の錯覚”と言えます。

2.支払額が一定(ヒューリスティック)

 普通クレジットカードを使うと使った金額が翌月(又は翌々月)に銀行から引き落とされますので当然のことながら使った金額を実感します。使い過ぎてしまった時は多額の引き落とし金額を見て来月は買い物を控えようという気持ちになります。ところがリボ払いは支払額が一定で、少々使い過ぎても返済金額が増えませんから金銭感覚がマヒしてしまいます。結果として毎月のカード利用額がどんどん膨れ上がっていく危険性をはらんでいます。冷静に計算すればすぐわかることなのに直感で判断してしまうことを行動経済学ではヒューリスティックと言い、これも認知バイアスのひとつです。支払額が一定になっているというのは直感的に借金が増えているという感覚を起こさせることなく、ヒューリスティックに陥らせる極めて良くできた仕組みだと感じずにはいられません。

3.特典満載(選好の逆転)

 さらにリボ払いはどこのカード会社も熱心に宣伝をしています。DMやメールで勧めるだけではなく、たとえばポイント5倍といった非常に魅力的な特典が満載です。「こんなにお得なら利用しなきゃ!」という誘惑に駆られます。ところが買い物をして付与されるポイントというのはせいぜい1%ぐらいのものです。仮にポイント5倍といっても5%にしか過ぎません。それで15%もの金利を支払っていたのでは、まったく割に合いません。ところが人間は目先の利益に目を奪われて先のことが見えなくなり、結果的に不合理な選択をしてしまうという現象がしばしば起こります。行動経済学ではこれを「選好の逆転」と言います。目先で得をしたいと思う心が将来の大きな損を招いてしまうということですね。

 こうして考えてみると、どうやらリボ払いは行動経済学の宝庫のようです。ただ、別に行動経済学を引き合いに出すまでもなく、常識的に考えればリボ払いが不利だということはすぐわかります。なぜなら可愛らしいキャラクターや有名なタレントを使って宣伝するにはとても高いコストがかかっているはずです。しかも前述のようにポイントアップといった特典を付けてまでリボ払いをさせようとする理由はただ一つ。カード会社が儲かるからに他なりません。言うまでもなく、カード会社が儲かるということは利用者にとっては損だということです。

 このようにリボ払いに仕掛けられた罠は実に巧妙かつ多様なものですから一旦利用し始めるとなかなか抜けられなくなって結果的に大きな負担を強いられるという人も決して少なくないのが現状のようです。中には利用金額が膨れ上がって毎月の支払の多くの部分が利息に充当されてしまい、元金自体の返済がなかなか進まないという話も聞きます。よほど強い意志を持ち、計数に明るい人でない限りはリボ払いを利用するのは避けた方が良さそうです。もっともそういう人ならそもそもリボ払いはしないでしょうが。

大江英樹

経済コラムニスト。オフィス・リベルタス代表。1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングなどに従事。年間100回以上の講演やテレビ出演。執筆活動を通し、経済や資産運用などの知識を分かりやすく伝えている。主な著書に主な著書に『経済まるわかり』(日経HR社)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。