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『宴会での女性のお酌』は拒否できるか、それとも“慣習”として受け入れるべきか?

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Thinstock/Photo by DAJ

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 男女平等とはいわれるが、現代日本の実態はまだそれには程遠い。先日は東京医科大学の入試で、女子受験者や浪人の男子受験者らの点数を操作し、合格者数を抑えていたという不正問題が明るみになった。

 セクハラや性差別に対して声を上げる#metooムーブメントは、私たちの生きる社会が男女平等には程遠いことを改めてまざまざと見せつけた。さらに純粋に学力だけで競われると思われていた“試験”の場ですら、男女差別が存在していたことが突きつけられ、暗澹たる気持ちになる。

 このように依然として不平等な社会に生きている女性は、酒席でも“男性を喜ばせる”係を担わされることが多々ある。そんな役目を仰せつかった女性からの相談を紹介したい。

宴会の手伝いを頼まれて主人と義母の間で板挟みにあっています

 トピ主(20代女性・既婚)は、夫の実家から「お盆は家で増築祝いを兼ねて宴会するからおいで」と誘われ、このときに宴会の手伝いをするように頼まれたという。曰く「集まる男性の一部から女性のお酌を期待してると要望があって手伝って欲しい」「義祖父たち力仕事でならした世代の男性だと女性にお酌してもらわないとお酒がおいしくないのだろうね」ということらしい。

 この増築祝いは義実家の大広間(仏間)で催されるのだが、トピ主夫の親戚だけでなく、仕事関係や老人会、町内会もろもろの面々も呼んで20人ほどの大規模なものになるという。義母からは「ウチ(義母)は良いとして、義姉さんが妊娠中で身重だから無理をさせたくないから力になって欲しい」と頼まれた。

 ところが夫にこれを伝えると困った顔になり「行くのをやめようか」と言ってきた。「仮に行っても大広間には顔を出さずに宴会の前に帰ろう」とも言う。夫が困惑している理由は、「私(トピ主)を宴会に出させたくないから」だという。自分の妻が頭を下げながらお酌する姿を見たくないという夫に、トピ主は嬉しくなった反面、そんなにヤキモチ焼きだったかなぁ……と少し不思議に思った。

 そこで夫に「じゃ、あなたから義母さんに断りを入れて」と告げたら、黙って考え込みそのままになってしまった。

「私自身もお義母さんの頼みを断ると今後の親戚づきあいに支障が出そうだし手伝わないと困るかなと思っています。
やっぱり男性は自分の妻がお酌して回るのは見たくないものでしょうか。
お酒の入った宴会としても身内の女性にセクハラまがいの要求もしないと思ってるのですが私が世間知らずでしょうか」

という相談だ。

 うんうん、地域によってはまだこういう宴会もありそう。女性陣が料理や配膳を切り盛りして男性陣は飲む、みたいな宴会。筆者は男性にお酌するのが大嫌いなので、こういう場では気の利かない人のフリをしてしまう。トピ主は“お酌”の意味は、酒が空いたら注ぐ、それだけ(それだけでも腹立たしいが)だと思っているようだが、もっと気をつけろ、と注意を促すコメントが多い。

「セクハラ紛いのこともあるのかもしれないですよ。そこで生まれ育ったご主人は、それを知っているのではないですか?」

「少なくとも、旦那様は小さい頃から実家周辺の宴会を見聞きし、裏の情報(女性陣からの噂や愚痴)も知っているのでしょう。 だからこそ、自分の妻に選んだ女性にその場に連れて行きたくないのではないですか。
例えば、まだお子さんはいらしゃらないようなので、『子供の予定は?』から始まり、『子供の作り方』のような下ネタ満載の会話が、トピ主さんを俎上に延々続くとか」

「増築祝いに老人会・町内会がやってくるのは田舎ですよね。それとも都会でも、その地に密着した『お祭り命』みたいな土地柄とか。
あ~、それ、セクハラまがいが横行します。お尻触られて『安産型だー!』
手を握られて『若い子の手は柔らかいのぉ』
ほっぺにチューしていいかい?
とか…。
ご主人は知っているのですよ。どうなるか」

「私は、自分が飲みたいのに人にお酌させようとする人が大嫌いです。
『勝手に注いで飲め』といつも思っています。
ご主人は今まで親族を見てきて『妻にお酌をさせたくない』と思ったのです。何かがあったのではないでしょうか。
それがセクハラなのか酒癖の悪い人が暴れるのか絡むのかはわかりませんが、きっと過去に何かあったのですよ。
だからあなたにお酌をさせたくないと思ったのです」

「私だったら、こんな気持ち悪い集まりには絶対に行きたくないなぁ。確実にセクハラされるし、いや、その為に呼ばれてるんですから。姑さんだってそんなの百も承知ですよ。
貴方の夫は別にヤキモチを焼いてるんじゃなく、自分の妻をセクハラの餌食にしたくないから『行くのやめよう』と言ってくれてるんじゃないですか?
身内の女性にセクハラなんてまさか! と思うのは甘いです。舅だって元々は赤の他人ですし、会社関係だの老人会だの他人だらけの場ですよ」

 ヒィ~恐ろしい。小町の集合知が全力で注意を促している。たしかに、義母にははっきり言えない気の弱そうな夫が、明確にトピ主に「出て欲しくない」と告げているところから、この宴会の“お酌”は、単にお酌するだけにとどまらない何かがあるのではと、勘ぐってしまう。

 トピ主レスでは、夫の実家は九州の田舎だということ、トピ主もお酒が好きだということ、義祖父もお酒好きで「お盆は一緒に飲みたいから必ず来てね」と言われているため断りにくいこと、またお正月の親戚の集まりでは夫がしきりに帰ろうと言ったため、宴会は参加していないということなどが書き込まれたのち、ようやく危機感を感じてきたのかこう綴る。

「みなさんのお答えを聞いて田舎の宴会の実態を知りました。
質問する前はきっちりお酌係を務めて良いお嫁さんと思われるように……と思っていたけど、みなさんから聞いた田舎の宴会の実態を知って考え直しています。
私の家の親戚は盆正月にも宴会はなく日中に挨拶して夕食前には帰ります。
最近の法事でも実家に集まることはなくて葬儀会館で食事して前後にビールが出て来た記憶しかない。
なので宴会とは学生コンパの飲み会のイメージしかありませんでした。
『お酌係だと飲んだり食べたりできないの?』って軽く考えてたけどポイントがズレてた。
セクハラについてお正月も『子供の予定は?』聞かれたし、セクハラも体を軽く触られるぐらいは許容範囲だろうと甘く考えていました。
精神的なハラスメントで嫁同士で比較されてお義姉さんと比べられるのはキツイなぁ……
主人が言う『頭を下げながらお酌する姿を見たくない』
私が思っている『どうぞ』って会釈してお酒を注ぐのでなくて、高級旅館の女性のように畳に両手をついて頭を下げてからお酌する? そこまでやらなくても畏まって頭を下げるのだろうか……と。
みなさんは宴会のお酌を頼まれたらどうしているのだろう? ……宴会のお酌の手順を知りたくなりました」

 確かに筆者も空いたグラスに酒を注げばいいぐらいに考えていたが、夫の実家の集まりは違うのだろうか……? また、最初は“セクハラ!”という意見が多かったが、徐々に、これもコミュニケーションの一環として受け流すのが賢明であるというスタンスのコメントも書き込まれ始めた。

「触られたりとかはないけど、若夫婦をからかうような発言は多少あるでしょうね。
・ニコニコ明るくお酌
・下ネタ振られたら『もぉ、困ります。お義母さん、助けて下さ~い』
・『何かお手伝いする事ないですか?』
これでいいんですよ。
ご主人が帰るぞ! と言ったら、素早く帰りましょう。
九州の方でしょ? こういった年に一度や二度のお付き合いも大切だと思うけどな。
まだ二十代。これから助けて頂く事もたくさんあると思うの」

「20人程の宴会の、準備・途中の皿下げ・飲物追加・片付けの全てをするには一人では大変です。
私は同様の宴会で、主にお酌係をしました。
セクハラ紛いは無かったけど、仮にあったとても笑顔で適当に受け流し、話が長くなれば
『あっ、ちょっとお酒を取ってきますね』『お義母さんを手伝ってきます』とかで席を立ったりしたと思います。
宴席に女性(若い・きれいなら尚更)がいると、場が明るく和むのは事実。
ご主人がお義母さんに断りにくいのは(本人は無自覚かも知れないけれど)お義母さんの大変さや、親戚・ご近所づきあいの大切さなどは解るからかも。普段手伝っているお義姉は今回いないし。
>自分の妻が頭を下げながらお酌する姿を見たくない
ご主人が本当に心底嫌がるならば、それに沿うで正しいと思います。
意見としての『敢えて反論』。
親戚や会社友人関係を招待して、式場で行う結婚披露宴。
新郎新婦の親兄弟は、お辞儀しながらお酌しながら、各席を回りませんか?
そんなものだと思うのですが、今時は違うのですか?」

 確かに結婚披露宴では親きょうだいがお酌をしてまわるが、増築祝いとは別だろう。こうしたコメントをみるにつけ、女性はこれまでセクハラと隣り合わせに生き、これを穏便に受け流すことで、社会に適応してきたのだということを再認識させられる。普通に考えたら男女は関係なくお互いにお酌をすればよく、女性に対してだけ配膳以外のプラスアルファを求めるのは気持ちが悪い。

 こんな意見も書き込まれた。たしかに、円滑な関係を築くためというその目的自体、あまり意味がないのかもしれない。

「ご主人が、『行かなくて良い』と言ってるのだから、行く必要は無い。
行かない理由の説明もご主人にまかせて、トピ主さんはかかわる必要はない。
トピ主さんと、あちらの家とは世界が違います。
デキた嫁と認定されて、何か良いことありますか。
法事など酒席のたびに、アイソの良い嫁としてセクハラ対象としてもてあそばれる。
そして最後は、介護要員として頼りにされる。
親戚付き合いは、必要最小限にとどめるのが賢明です」

 さてさて、ここでまたトピ主レスが書き込まれたのだが、この宴会の実態は、女性が料理を作って配膳するという作業は含まれてはいなかった。義母が言うにはなんと「お料理は仕出し料理を注文するので昔みたいに台所で作らない。アナタはお酌とお客様の話し相手。裏方のお料理出しや洗い物は他の人がやるから心配しなくて良い」というのである。これはもう、コンパニオンに任せた方が良いのではないか……?

 そしてトピ主は直接、義母に連絡を取ったのだが、実家サイドではトピ主の知らない話になっていたという。義祖母がいろいろと誤解しており、可愛い孫(トピ主の夫)が嫁の尻に敷かれていると思い込んでいるのだという。お正月にトピ主夫婦が早く帰った件について義祖母は「早く帰ったのは○○さん(私)が相手の実家に長居したくないのを気遣ってる」と言っていたそうだ。義祖母の手前、増築祝い(お盆)は「最後までいて欲しい」と義母は頼んできた。

「当然、そのまま主人に話しました。
『おばあちゃんは結婚する時も年上女房って反対してたからまだ根に持ってるのかぁ』と言ってまた黙り込みました。
今度ばかりは黙り込まれたままだと困るので『あたし、どうしたらいい?』と問い掛けるとおばあちゃんと話してみると。
尻に敷いたつもりは全然ないから誤解をすべて解いてくれるように念を押しました」

 いるいる~~。年上だというだけで“年上女房がうちの孫を尻に敷いてる”と思い込む祖父母。何かにつけてそこに帰結させようとするから厄介だが、もう言わせておけばいいのではないかとも思う。そしてレスでさらに宴会の実態について書き込まれた。

「私は増築祝いで宴会を開くのかと思ってたけど、もともと本家だから親戚が集まってお盆の宴会はやるのは決まってて増築祝いを兼ねて宴会するから人数が増えるって意味だったのです。
お酌係については昔から暗黙の了解で『大人の女性の若い方から二人がやるルール』があって最近はウチ(=義母)と義姉がお酌してる。
お正月は義姉とアナタに任せるつもりだったけどアナタは帰った。だからお盆はお願いねって連絡したのよ。今回は義姉が妊娠して無理させたくないから、ウチとアナタでやるから何でも聞いてね、みたいな話を聞かされました
質問に『集まる男性の一部から女性のお酌を期待してると要望があって』と書いたけれど、男性から言われるまでもなく現場の女性たちで暗黙の了解のルールが存在してたのです。男性たちも知っていて期待してるはずです。
肝心のセクハラについては『ある程度は下ネタで話が盛り上がるかも知れない』けど芸を求められたり脱がされたりは絶対に無い。
困ったらお義母さんに目で『助けてサイン』を送ればフォローしてくれると言ってくれました」

 脱がされたり……ってそんなことがあったら離婚どころじゃないですよ(呆)。なんだか夫の実家の価値観がすごくて引いてしまう。

 その宴会での“お酌”が、普通にコンパや飲み会でやるのとどう違うのかと夫に尋ねたところ、「全然違う。同年代の飲み会のノリでお酌したら大怒られするから」と詳細が明かされた。

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ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

twitter:@watcherkyoko

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