政治・社会

日大チア部の監督によるパワハラ問題、独裁体質による構造問題いっそう浮き彫りに

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日本大学公式webサイトより

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 今年5月にアメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、体育会含む学校組織の構造にまで大々的な批判を浴びた日本大学。今度はチアリーディング競技を行う応援リーダー部の女性監督による女子部員へのパワハラが発覚した。8月9日の毎日新聞が報じている。

 毎日新聞によると、2011年頃まで同部に在籍していた「OG」の監督は2015年度より同部監督に就任。今年2月5日、監督は特定の部員を名指しし「大雪の日に事務員に頼んで練習をなくそうとした」と事実でないことで叱責したという。

<この前後にも、部員が強豪である出身高校のジャージーをはいていたことを見とがめ「学校の恥。今すぐ脱げ」と怒ったほか、けがからの復帰が遅れているのをうそだと疑い大会に出場させようとした>

 部員は<他の部員からも責められて自殺を考えるほど追い詰められ、大学に通えなく>なり、適応障害と診断されたという。

 部員の家族は2月15日に、日大の34の運動部を総括する保健体育審議会(以下、保体審)に相談。同日、監督は部員の自宅を訪れ謝罪したが、発言の訂正はせず、部員が練習に戻れる環境を作ろうとはしなかったため、再度保体審に連絡し仲裁を打診した。すると保体審は「間に入る」と約束したものの途中で態度を変え、3月6日には「監督と直接話してください。腹を割って話さないと駄目ですよ」「部活のことは監督に一任してある」「日大としてできることは全てやった」などと言い、部員と監督の面談への立ち合いも拒否。3月9日、部員の家族は同大学内の人権救済機関に相談し、調査の結果、人権救済機関は監督の言動がパワハラに該当すると認定されている。保体審は当時、アメフト部の監督を務めていた内田正人氏が事務局長だった。

 その後、5月に部員サイドから申し立てを受けた日本チアリーディング協会が監督に事情聴取。聴取に応じた監督は、部員サイドの申し立て内容を大筋認め、8月5日付で謝罪文を提出したという。

 日大は8月9日、保体審が9日付で応援リーダー部の監督を解任したと発表。解任理由については「学生の指導に支障を来すことが懸念されると判断した」としている。毎日新聞による大々的な報道、およびそれを受けたテレビニュースなどでの報道を受けての咄嗟の判断だった可能性もあり、遅すぎるといえるだろう。

 どのような部活動であっても、監督が独裁的な権力でコーチや部員を支配するのではなく、それぞれの人間としての権利を尊重した指導がなされることが理想だが、結果を求めるあまり“指導”とは言えない追い詰め方をしてしまうケースはある。だからこそ権力が一極集中しないよう、第三者機関による監視体制が必要とされる。しかし少なくとも日大においてその機能は発揮されていなかった。

 日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題では、第三者委員会が7月、選手に悪質なタックルを指示した内田正人前監督の指導は独裁・パワハラであると指摘。また、独裁・パワハラが成立した背景には、運動部を監督する保体審の事務局長を内田前監督が務めていたため、「ガバナンスが機能しなくなった」とも指摘していた。

 応援リーダー部の部員の家族から監督のパワハラについて相談を受けた保体審が、途中から「監督と直接話してください。腹を割って話さないと駄目ですよ」「部活のことは監督に一任してある」といった対応になったことからも、ガバナンスが正常に機能しなかったことは明らか。アメフト部、応援リーダー部に限定した問題ではなく、監督など権力者からコーチや学生へのハラスメントがあった時に、その被害をしかるべき機関に報告しても問題を解決できない構造になっていたということだ。組織として抜本的な改革が必要な事態であることは言うまでもない。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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