シンデレラの物語を戦時中に置き換えたら…明日の命も知れない状況下で男女は何を求めるのか

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 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンターテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、時に舞台では、ドラマや映画などの映像では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 ディズニー映画でおなじみの「シンデレラ」。数えきれないほどの映画や舞台作品となっているロマンチックな童話ですが、昨今は、持って生まれた外見や資質だけで、王子様が幸せにしてくれるのを待つのみというシンデレラの人物造形が、否定的に受け止められることもあります。

 先月来日公演が行われていた、イギリスの振付家マシュー・ボーンによるバレエ「シンデレラ」は、つらい境遇の少女が愛を手にするという大筋こそ本家をなぞるものの、自分の勇気と足でその幸せをつかむ作品。

 舞台を第二次世界大戦中のロンドンに置き換え、厳しい時代を生き抜く希望として相手を求める男女の姿をリアルに、バレエという華やかな芸術ならではの表現で描いています。

 「シンデレラ」の演出、振付を手掛けるマシュー・ボーンは、古典作品を新しい解釈で大胆に翻案した作品で知られるコンテンポラリーバレエの世界的な演出家です。

 代表作「白鳥の湖」は英国王室をモチーフに、男性が演じる白鳥と王子の禁断の愛を描き、ダンス作品の最長ロングラン記録を樹立。トニー賞最優秀振付賞と最優秀ミュージカル演出賞の両方を受賞した唯一のイギリス人演出家で、来日公演もたびたび行い、大きな人気を博しています。

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