社会

日大チア部のパワハラといじめ問題、チアリーディング経験者が独特の同調圧力に言及

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 あまりにつらいなら辞めればいい。しかし、同調圧力に押し潰され、辞めるに辞められなくなってしまう選手もいるという。日大の部員が出した文書には、<監督から部を辞めることは許されないと指導されていた/辞めることは許されなかった>とあり、怪我からの復帰が遅れていることに監督が『本当はもうできるんじゃないの?』と言ったなどの報告もあった。Cさんがいた大学の部も、入部時は先輩に『簡単には辞められないから』と言われたし、怪我をしていても“なるべくやる”のが望ましいとされていた。

「怪我に関して言えば、自分の身体のメンテナンスを優先して見学する部員より、怪我を押してでも練習する部員が評価されました。怪我をしていても松葉杖とかギプス固定とかどう考えてもできないとわかるものじゃなければ、休みづらかった。これもいわゆる“空気”だよね。医師から1週間は競技をせず様子を見るように言われているからと、空気を無視して見学すると、『医者なんてみんなそう言うんだよ!』『意地や覚悟はないの?』『甘えないで』と言われました」(Cさん)

 退部の意思を打ち明ける部員が出ると、大騒動になった。

「もう、みんなで止めます。『もったいないよ』『一緒にやりたいからやめないで』と涙ながらに訴える子もいれば、『ここで頑張れば、社会に出た時辛いことがあっても大丈夫って思えるよ』と励ます子、『甘ったれんな! 絶対辞めちゃダメだし、そんなんじゃ辞められないよ』と怒る子もいて、『辞めたっていいじゃん、個人の自由でしょ』なんて思っていても言えませんね。
部の方針や規則で『簡単には辞められない』と言われても、法律どころか学則ですらないし、その子はスポーツ推薦で入学したわけでもなかったので、拘束力はなかったはずです。でも、辞めてはいけないんです。
結局、その子の親が大学に連絡して退部になりました。大学生のチームが自分たちだけで解決するには限界がある。チアに限らず、大学の部やサークルを指導する立場の人や、周囲の大人は、学生に『あなたたちだけで解決できないこともある』と伝えるべきだと思います」(Cさん)

 二人とも、現役当時は『チアは信頼関係が大切なスポーツ』と信じ、実際ほぼ毎日チームメイトと顔合わせる中で、世界のほぼすべてが部活一色になっていたという。それは何もチアリーディングという競技だけに特有のことではなく、狭い世界にどっぷり浸かることのリスキーな側面だろう。

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