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一部企業が就活で「学歴フィルター」をかける理由と、就活システムの根本的な問題点

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Thinkstock/Photo by ijeab

「学歴フィルター」の仕組み

 大学生の就職活動は後半戦に入り、すでに内々定を得ている学生も多いと言われている。その就職活動であるが、学生たちの間で毎年話題になるのが「学歴フィルター」である。

 最近の就職活動は、学生が企業に「御社に興味がありますので、説明会等を開催する時は御連絡下さい」という登録をするところから始まる。この作業を「エントリー」と呼ぶ。

 企業は、エントリーした学生に、「説明会のお知らせ」をメールする。その際、「説明会に出ないと、選考に進めませんので、奮って御参加下さい」と記す。メールを受け取った学生は、志望企業の説明会であるから、「参加する」のボタンを押す。そのとき、奇妙なことが起きる。

 難関大学の学生には「お申し込み有難うございました。お待ちしております」とのメールが、それ以外の大学の学生には「申し訳ありませんが、満員です」とのメールが来るのである。

  企業としては、人気企業であればあるほど、入社を希望する学生全員と面接をすることは不可能なので、「難関大学の学生としか会わない」と決めている場合がある。そうであれば、それ以外の大学の学生を説明会に参加させるのは、お互いにとって時間の無駄である。そこで、上記のような対応をするのである。これが「学歴フィルター」と呼ばれているものである。

「就職活動は本音と建前の使い分けを学ぶ機会だ」と理解しよう

  はじめから「我が社は難関大学の学生しか採用しません」と宣言すればよいのであるが、それでは企業のイメージが悪くなりかねない。特に消費財メーカーの場合には、幅広く消費者に愛される必要があるので、企業イメージは重要である。そこで、「我が社は学歴を問いません。人物重視です」と言っておくわけである。

 メールを受け取った学生は、他の学生が受け取ったメールは見られないから、それで納得するのが普通であるが、他大学の学生と情報交換していれば、不思議な現象に気づく場合もある。学生によっては、難関大学の学生という偽の身分と、それ以外の学生という本当の身分の2つを同時に用いて参加を申し込むこともあるようだ。それで得をするわけではないのだが、「あの会社はヒドイ」と愚痴を言うために手間をかけている、というわけだ。

 しかし、そんな手間暇をかけて学歴フィルターの存在を確かめて企業の愚痴を言っても仕方ない。学生だって、すべての会社に「御社が第一志望です」と意思表示しているではないか。

 ここは開き直って、「就職活動は本音と建前の使い分けを学ぶ機会だ」と理解しよう。会社としても入社してから、課長が会社をサボっているときに取引先から課長への電話があったとして、正直に答えるような人では困るのだから。

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塚崎公義

久留米大学商学部教授。東京都生まれ。1981年、東京大学法学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。著書に『一番わかりやすい日本経済入門』『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由(9月24日発売予定)』(いずれも河出書房新社)など多数。

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