一部企業が就活で「学歴フィルター」をかける理由と、就活システムの根本的な問題点

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企業側にとって合理的な3つの理由

 企業が学歴フィルターを用いる理由としては、3つ考えられる。まず「全員に会うわけにいかない場合の、ふるいにかける方法としてベストだから」ということになる。抽選で決めるよりも学歴フィルターの方が優秀な学生が採用できる可能性は高いだろう。学力テストを実施すればよいのだが、そのコストを避けるために「4年前の学力テストの成績を持参せよ」と言うのは合理的であろう。

 2つめは、勉強ができれば、学歴が高ければビジネスパーソンとして優秀だ、とは限らないが、「どちらかと言えば学業成績や学歴が高い学生の方が優秀なビジネスパーソンになる確率が高い」と期待される点だ。

 記憶力がよい、物事を論理的に考える力がある、といった能力は、ビジネスパーソンとしても重要である。それだけではダメだが、それが重要でないということは決してない。だから、性格等々は面接で見極めるとして、とりあえず学業成績優秀な学生を優先するのである。

 難関大学の学生を採用する3つめのメリットは、「難関大学の学生は、頑張るべきときに頑張ることができる学生」だということである。彼らの多くは高校時代、「難関大学に入れば就職で有利だから、難関大学に入学しよう」と考えて、遊びたい欲求を我慢して受験勉強をしてきたわけである。

 「頑張るのは嫌だから、難関大学は受けなくてよい」「頑張ろうと思ったけれども、ついつい遊びが優先してしまって不合格になった」という高校生と比べれば、企業がどちらを採用したいのかは明白であろう。もちろん、企業にとっては合理的でも、就職が受験失敗の再チャレンジにならない現状があるとしたら、それに理不尽を感じて憤る学生がいることも理解できるが。

 そして、「難関大学の卒業生は、取引先のお偉いさんと同じ出身校である可能性が高く、商売に有利である」といった認識を持っている可能性もあろう。しかし、そのあたりは難関大学であるか否かより、卒業生の母校愛が強い大学か否かの方が重要なのかも知れない。

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