大阪府堺市で先月、あおり運転する乗用車に追突され、バイクに乗っていた大学生が死亡するという凄惨な事件が起きた。容疑者のドライブレコーダーから、衝突後に「はい、終わり」と殺意を匂わす音声記録が見つかるなど、そのインパクトの高さからこの事件は大きく報道された。この事件を始め、あおり運転に関するニュースを耳にする機会がここ最近増えている。
事実、全国の警察が今年6月1~7日に高速道路で初の取り締まりを実施。道路交通法の車間距離保持義務違反で1088件を検挙したと警察庁が発表した。また、東京新聞によると、2016年に道路交通法違反の車間距離不保持で検挙されたのは7625件で、9割近い6690件が高速道路での違反だった。わずか1週間で2016年の7分の1の検挙数に達したことを考えると、あおり運転がいかに見過ごされ、常態化していたのかがわかる。
今年から取り締まりを強化したけど…
警察庁は今年1月、あおり運転など悪質かつ危険な運転に対して、これまで以上に取り締まりを強化していく意向を以下のように示した。
<悪質・危険な運転を未然に防止するため、車間距離不保持、進路変更禁止違反、急ブレーキ禁止違反等の道路交通違反について、積極的な交通指導取締りを推進すること>
<「あおり運転」等の悪質・危険な運転は厳正な取締りの対象となること及び交通指導取締等を強化していること>
取り締まりを強化したおかげで、運転手の意識が高まり、1週間での検挙数を1000件“程度”まで抑えることができたと見ることもできなくはないが、それでもこの数は多い。
暴行罪の適用も辞さない京都府警
そんな中、京都新聞は今月10日、京都府警が「危険な運転に対する暴行罪の適用」や「交通量の増える盆時期にはヘリコプターでの上空監視を行う方針を掲げる」など、交通事故を起こさないよう未然の対策を強化すると報じた。
特に今はお盆休みで、実家に帰ったり旅行に出かけたりと車の利用者が増える時期だ。交通渋滞が予想され、あおり運転につながりやすい時期ともいえる。京都府警だけでなく、全国的に注意が必要だろう。
ドライブレコーダー搭載車は急速に増加しつつあるが、事故後の検証には役立つものの、あおり運転そのものを防ぐ効果はない。警察の取り締まり強化が必須であると同時に、これまではあおり運転を見かけても放置していたという人も、速やかな通報を意識していくことも重要だろう。