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NY:ネイルサロンでアジア系従業員と黒人女性客が大乱闘~悲しい歴史

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youtubeより

 8月3日の金曜日、ニューヨーク・ブルックリンにあるネイルサロンで客と従業員の大乱闘が起きた。支払いを拒否した女性客を何人ものネイル・スタイリストが取り囲んで箒の柄で殴り、ネイル・リムーバーを顔に振りかけた。従業員の一人は客に投げつけるために椅子を持ち上げることまでした。乱闘の様子は他の客のスマートフォンによって撮影されてフェイスブックにアップされ、またたく間に75万回も閲覧された。週明けにはネイルサロン前にサロン閉店を訴える抗議者が多数集まり、従業員は警官にエスコートされてサロンを出なければならなかった。

 客は黒人女性、サロンの経営者と従業員は中国系移民だった。

5ドルをかけて、乱闘

 現場はブルックリンの黒人地区イーストフラットブッシュにある中国系の “888 ハッピー・レッド・アップル・ネイルズ” 。ここで眉のワックス脱毛をおこなった客のクリスティナ・トンプソン(21歳)は仕上がりが気に入らず、料金を払わないと主張する。

 サロンの経営者マイケル・リンは「ワックス脱毛代(5ドル)は払わなくてよいが、ペディキュアもおこなったのでペディキュア代は払って欲しい」と対応するも、トンプソンはどちらも払いたくないと応答。この時点で経営者は警察に通報し、サロンの女性従業員たちが、トンプソンが立ち去れないようにドア塞いだ。この後に乱闘となったが、トンプソンが先に従業員を殴ったという報道もあれば、他の客が先に殴ったという報道もある。

 先に挙げた他の客によるビデオ以外に店の監視カメラによる映像も公開されている。その映像は、トンプソンではない女性客(黒のタンクトップ)が、従業員のウイユー・ジェン(32歳、黒のシャツ)に箒で何度も殴られているところから始まる。この客はやがてドアを開けて店から脱出。店の奥ではトンプソン(濃グレーのシャツ)が動けないよう、経営者に背後から抱きかかえられている。トンプソンの祖母(58歳、薄グレーのシャツ)がトンプソンを助けようとし、箒の柄で殴られ、トンプソンは「それは私のおばあちゃんよ!」と繰り返し叫んでいる。その後、他の従業員が祖母の顔にネイル・リムーバーを振りかけている。ビデオには写っていないが、やがて警官が到着し、トンプソンとジェンを逮捕する。

 店内にいた黒人女性客が撮影した映像を見た黒人女性タレントが抗議のコメントをツイートし、月曜の抗議デモとなった。

マイノリティ同士の摩擦

 アメリカにおける黒人市民とアジア系移民の衝突はこれが初めてではなく、長い歴史を持っている。

●1984年、ニューヨーク:当時、マンハッタンの黒人地区ハーレムには韓国移民による八百屋、魚屋が何軒もあった。地元住人の黒人たちは韓国人店員の態度が悪く、客に敬意を払わないとボイコット。市行政も介入しての話し合いが行われたが、最終的にはほとんどの韓国系商店が立ち退いた。

●1990年、ニューヨーク:ブルックリンにあった韓国人経営の食料品店で買い物をしたハイチ系の黒人女性客が店員に暴力を振るわれ、救急車で搬送される事件が起きた。発端は女性客が万引きをしたと店員が疑ったこと。双方の主張が異なっていたが、監視カメラもスマートフォンもない時代であり、確認は取れず。

●1991年、ロサンゼルス:韓国移民が経営する食料品店にて、店主の妻が客の黒人少女(15歳)を射殺。店番をしていた妻が、少女が万引きをしたとして少女のバックパックを取り上げたことから揉み合いに。妻は店を後にする少女を背後から撃ち、即死させた。裁判で有罪となったものの判事が執行猶予としたため、黒人社会は猛烈に反発。

●1992年、ロサンゼルス:黒人男性ロドニー・キングが複数の白人警官に激しく殴打された事件の裁判で、警官は全員が無罪となる。判決に怒った黒人市民は暴動を起こすが、その際、韓国系の商店がターゲットとなった。暴動は数日間続き、死者63人、負傷者2,400人、逮捕12,000人、火事3,600件の参事に。暴動中、韓国系の商店主たちが自衛のためにライフルを構える写真が大きく報じられた。この暴動時に前述の黒人少女が射殺された食料品店も放火され、全焼。

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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