社会

「綾瀬はるか『戦争』を聞く」で明かされた、満州からの引き揚げ女性に強制された性接待

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 行為のあとは、膣からうがい薬をホースで子宮まで入れて洗浄しなければいけないような状況で、性病などにより4人の女性が死亡。日本に帰ることができなかったという。

 同開拓団は600人中400人が生還した。彼女たちの犠牲は多くの人の命を救ったのだが、しかし、そこまでして開拓団を守った彼女たちに対する周囲の視線は冷たいものだった。

 人身御供になった女性のひとりは、帰国後、<『減るもんやないし、お前たちいいんじゃないか、ロシアの人と付き合えて良かったやないか』、なんてことを言う人もある>と心ない対応を受けたと明かし、また別の女性も<弟がいつも言いました。『姉なんか地元で嫁入りしようと思ったって、誰ももらってくれんわ』って。満州で汚れたような身体を誰ももらってくれやせんで>と証言する。あまりにもひどい話だ。

 こういった状況下、命からがら日本への引き揚げ船に乗る頃には妊娠してお腹が大きくなり始めている女性もおり、思い悩んで船から海に身を投げる人も少なくなかったという。

 帰国後に妊娠している女性は、博多の港に着くと、二日市保養所という施設に連れていかれた。

 二日市保養所では、当時違法だった中絶手術が行われており、そこで500人近くの女性が手術を受けたという。

 二日市保養所で行われていたことは秘密にされ、記録もほとんど残されていないため検証ができなくなっているが、そのような施設がつくられた背景には政府の考えがある。番組では同種の施設にいた医師が<異民族の血に汚された児の出産のみならず家庭の崩壊を考えると、これら女性たちの入国に際しては、これを厳しくチェックして、水際でくい止める必要がある>との命令が政府からくだされたと証言していると明かす。

 以上のことからわかるのは、軍隊、政府、開拓団の男性幹部、権力をもつ者たち全員が徹底した無責任体質で自己保身にひた走り、本来であれば守るべき者たちを、むしろ最前線に立たせて心身に傷を負わせていたという事実だ。

 戦争中という異常な状況のなかでそういった構図は前面化したが、「弱い者が守られるどころか最も虐げられる立場に立たされる」というのは、ブラック企業の例が端的に示す通り、2018年の現在でもなんら変わることなく続いているものだ。そういった意味では、70年以上前に起きた「過去」の話ではなく「いま」に通じている問題でもある。

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