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今年、大阪府岸和田市の「岸和田港まつり花火大会」の開催を中止した。東京都立川市の「立川まつり 国営昭和記念公園花火大会」も台風接近のため中止したが、岸和田港まつり花火大会の中止理由は天候によるものではない。人手不足だ。読売新聞によると、市は「これまでと同じ給料では人が集まらない。警備員1人につき警備費用を2000円上げてほしい」と警備会社から伝えられたようだ。市はそれだけの人件費を割くことはできず、1953年から続く花火大会の中止を決断したようだ。
また、山形県鶴岡市の「加茂レインボービーチ」も今夏、監視員や看護師などの人員が集まらず、開設を見送った。人手不足は企業の問題と考えられがちだが、季節のイベントにも影響が出始めており、その深刻さが伺える。
人材確保に頭を抱える企業は9割
日本の人手不足はどれほど深刻なのだろうか? マンパワーグループ株式会社は8日、日本を含む世界43カ国・地域の雇用主39195人を対象に実施した「人材確保」に関するアンケート調査の結果を発表。「昨年と比べて人材確保に苦労しているか」「人材確保が困難なスキル」「人材確保のために何をしているか」などについて問い、その結果、人材不足を感じている日本の雇用主は対象中89%と、43カ国中1位であることがわかった。2015年に実施した同調査では83%だったことを考えると、人手不足は解消されるどころか、年々深刻化していると言える。グローバル平均は日本の約半分の45%。現在、人手不足は世界的に問題となっているが、それでも日本は突出していると言えそうだ。
また、同社は「人手不足を解消するための戦略」も調査している。最も多かったのが「教育研修・能力開発の充実」(54%)。次いで、「学歴・経験などの必須資格の緩和」(36%)、「既存の人材プール以外からも採用」(33%)、「手当・福利厚生の充実」(32%)、「給与の引き上げ」(29%)などが並んだ。
「教育研修・能力開発の充実」が際立って高かった理由には、新たな人材が確保できないため、既存社員のスキルアップを図り対処しようという狙いがあるのかもしれない。しかし、ともすれば既存社員への負担の上乗せになってしまうだけという懸念もある。あるいは、もし雇用主側が「教育研修・能力開発を充実すれば人が集まる!みんなスキルアップしたいでしょ?」と考えているのであれば、現状が全く見えていないと言える。
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