AIがパートナーを探してくれるマッチングアプリは「恋愛不況」の救世主になるのか

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Thinkstock/Photo by master1305

 恋愛が難しい時代である。日本の結婚制度を研究する著名な大学教授のひとりは、そんな時代状況について次のように分析する。

「理由として大きいのは、経済的要因や社会的状況と制度の不一致だと思います。既存の日本の結婚制度は、正社員の男性と主婦もしくはパートタイマーの女性という組み合わせに、もっとも大きな経済的メリットが与えられる仕組みになっている。しかし、近年では正社員ではない男性が増えてきています。女性からすれば、経済的メリットを享受できないので結婚という選択肢が考えられなくなる。結婚が減るから自然と恋愛も減る。そういう状況があるのだと思います」

 お金がないから恋愛や結婚が減るとする主張は、あまり認めたくはないが説得力がある。実際その通りなのだろう。性文化を研究する大学教授のひとりも、「社会における格差が大きくなると、恋愛が減る傾向にある」と意見に同調する。若者のバイタリティーや性に対する関心が薄れたのではなく、関心を放棄せざるを得ない経済的理由がそこにあるというのだ。

 ところで、現代にはそのような“恋愛不況”をサポートしようというテクノロジーが多数現れている。なかでも代表的なのが人工知能(AI)を取り入れた各種アプリである。

 認知度が高いものから挙げていくならば、AIがパートナーを探してくれるマッチングアプリ「ペアーズ」がある。すでに日本と台湾で人気だが、韓国でも2017年下半期から正式にサービスがリリースされた。ペアーズは、会員の年齢・居住地・趣味・ファッションなどビッグデータを分析し、相性の良い相手を探してくれる。

 AIを使ったマッチングアプリは、今後も発展していく傾向にある。たとえば、シンガポールの有名デートアプリ開発企業「Lunch Actually Group」は、AIとブロックチェーンを組み合わせたマッチングアプリ「Viola.AI」を近々リリースする計画だとしている。同アプリでは、AIとブロックチェーンがプロフィール詐欺など、いわゆる「ラブ・スキャム」を防止してくれるという。

 マッチングアプリ以外にも、恋愛テクノロジーは続々登場している。そのひとつが、仮想現実(VR)を使った恋愛シミュレーションだ。VRを使えば恋愛経験が少ない人々でも、かなり精度の高い“予行練習”をすることができる。たとえば、VR企業「Oasis VR」はAIチャットボット開発企業とコラボ。VRデートゲーム「ラブレボリューション」を2018年初めにリリースした。360度の映像をベースにした実写デートゲームで、実際に撮影されたモデルが登場。音声認識技術を使って仮想ビデオ通話をすることも可能となっている。

 デートに着ていく服に悩みがちな人には、米Amazonが提供している「エコールック」(Echo Look)がある。写真を撮影してエコールックに相談すると、より良い服をお薦めしてくれる。また、米スタートアップ「スティッチフィックス」(Stitch Fix)が開発している人工知能は、ユーザーのスタイル、寸法、色、身体的コンプレックス、好きな色、価格などを入力すると、好みに合った服を選んでくれるだけではなく、自宅まで配達してくれるサービスと連動している。

 LINEやテキストメッセージから、意中の人の気持ちを知りたい人にも朗報がある。韓国スタートアップ「ScatterLab」が提供しているアプリ「TEXTAT」は、メッセンジャーアプリの内容を分析し、恋愛に発展する可能性を教えてくれる。これは感情分析アプリと呼ばれていて、メッセージに含まれている内容や顔文字、話し方などから“恋愛の精度”を予測するというものである。

 なお、英インペリアルカレッジの研究者たちは、リポート「THE FUTURE OF DATING: 2040」(未来のデート:2040)を発表。「2040年までには、相手と直接会う前に『仮想デート』を楽しむことができるようになるだろう(中略)これまで、出会う前まで写真だけで相手を予測していたが、仮想デートは五感を利用した出会いとなる。仮想空間で相手の手を握ったり、体臭を嗅ぐことも可能になるはずだ」と報告している。

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