内科、肛門科、耳鼻科、眼科、歯科、救急、めまい外来、そして不眠。自分の体が壊れていく、という怖ろしさ

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更年期

向き合います。更年期世代の生と性

 潤んだ大きな瞳が印象的な美奈代さん(52)は、この2年で自分の体に起きたことを克明に書き記したノートを持参してインタビュー場所に現れた。7歳年上のご主人、高校3年生の娘と社会人1年目の息子と共に暮らしており、現在は専業主婦だ。

 閉経したのは51歳のことだったが、その1年ほど前から様々な不調に襲われ、内科・耳鼻科・胃腸科・肛門科・眼科・救急科・めまい外来とありとあらゆる病院に通ったという。健康に50年間生きてきたのに、唐突に体調を崩し、検査をしても原因不明で別の科へ……ということを1年も繰り返したといい、どれだけ不安な心持ちだったか。重大な病気が隠されているのではないかと、強烈な不安に襲われもしただろう。美奈代さんの体調不良の経過と、回復についてうかがった。

生理周期の乱れと共にやってきた、突然の体の不調

――2年間で通われた病院の数をお聞きしただけで、どれほど精神的にも肉体的にもダメージがあっただろうと胸が痛くなる思いですが……。もともと、お身体は弱い方だったんでしょうか?

「いいえ、まったく。結婚してからは病気らしい病気をしたことがなく、家の近所にどんなクリニックがあるかもよく知らなかったぐらいです。生理も28日周期できっちりくるタイプで、特に重いわけでもなくPMSもありませんでした」

――閉経が51歳とのことですが、その前に生理の乱れはありましたか。

「50歳頃から生理周期が乱れ、生理のない時期が1カ月、2カ月と次第に長くなりました。体調が悪くなったのはちょうどその頃です」

――最初に「あれ?」と思われた不調はなんだったんでしょう?

「風邪が1カ月以上治らなかったんです。微熱があり咳が止まらない。内科に行くと、細菌性のものだろうとの診断で抗生物質を出されたんですが、治らない。また行くと、違う抗生物質を出される。2カ月ほど同じ病院で抗生物質をもらい続け、胸のレントゲンも撮りましたが原因はわかりませんでした。最後は百日咳かもしれないから入院も考えてみましょう、と提案されて」

――入院された?

 「いえ、風邪が長引いたせいか中耳炎になり耳鼻科にも通うようになったんですが、そうこうするうちに咳はおさまったんです。が、次は突然下痢に襲われるようになって。しかも半年以上も」

――え? それは尋常ではないですよね。

「ほんとうに辛かったです。夜中もお腹が痛くなり何度も起きてトイレに駆け込んで30分も籠るような毎日で。そのせいで慢性的な睡眠不足に」

――いまは専業主婦でいらっしゃいますが、1年ほど前まではお仕事をされていたんですよね。

「はい。長い間、企業で事務職をしていました」

――何カ月も下痢が続く状態だと、お仕事に差しさわりがあったかと。

「整腸剤は飲んでいました。不思議なもので、仕事中はお腹は痛くならないんです。就業時間になり『あー、終わったな』と思った瞬間、痛みに襲われます」

――お腹が緩くなりやすい体質だった、ということはありますか。

「まったくないんですが、なぜか妊娠していた時期だけ、下痢がひどかったんです。しかも何カ月も。つわりはなく、ただただお腹を壊していました」

――その後は肛門科にも通われるようになったんですよね。

「半年も下痢が続いたせいで、痛みが出てしまい……肛門科に。その病院で、『そこまで下痢が続くのはおかしいから大腸検査と血液検査をしましょう』と。どこも悪いところはなかったのですが、大腸検査から1カ月後に下痢がぴたりとおさまったんです」

――肛門科でなにか特別なお薬を?

 「大腸検査を受けた際に先生に『大腸検査は汚れた腸内を改善します』と言われたんです。私の場合は、検査から1カ月後には下痢で悩むことがなくなりました」

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