2009年のビットコイン運用開始から話題が尽きない仮想通貨。2018年8月現在、全世界で1500種類にもおよぶほど普及しており、日本国内ではそのうち十数種類を取扱可能な取引所が存在。いまや株式、FXに続いて人気の資産運用の投資先として注目を浴びている。
ビットコインで決済できるサービスや実店舗も近年増えており、関東を中心にホテル、居酒屋や喫茶店等の飲食店、歯科院や整体院のような医療現場でも仮想通貨決済に対応する場が広がっているという。
2017年6月には、大手仮想通貨取引所・リミックスポイントが、流通量世界2位の仮想通貨「イーサリアム」による決済サービスを飲食店や小売店に提供するという発表があり、今後も日本国内における仮想通貨の利用シーンは拡大していくことが予想される。
▼リミックスポイントプレスリリース
https://www.remixpoint.co.jp/corporate/press/2017/3235
「仮想通貨法」施行後の仮想通貨の“信用度”
仮想通貨の盛り上がりと同時に、ニュースサイトやテレビで時折り話題となるのは、価値の高騰と暴落、仮想通貨取引所の不祥事という、仮想通貨に対する危険性を指摘する内容だ。
最近では、2018年1月26日に起きた「コインチェック事件」をご記憶の読者も多いだろう。これは、仮想通貨取引所「コインチェック」における、仮想通貨「NEM」の不正流出事件。580億円という多額の被害額はもちろん、コインチェックに口座を開設していた約数百万人が被害に遭う可能性があるという史上最大規模の盗難事件として、仮想通貨の危険性を世間に強く印象付けた。
この事件をきっかけに、仮想通貨は「実態がなく信用できない危険なもの」「ギャンブル性が高くハイリスク」というイメージが広く広まってしまったのは事実である。しかし2017年4月に改正資金決済法(通称「仮想通貨法」)が施行されたことにより、仮想通貨は、金融庁に認められた決済手段になったともいえる。今はまだ始まったばかりであるこの仮想通貨を管理する体制、そしてそれを取り巻くシステムに問題が発生しないとはいい切れないが、仮想通貨は今後、その信頼性を高めていくことは間違いないと見て構わないだろう。
仮想通貨が「ハイリスク・ハイリターン」のゆえん
しかし、何はともあれ仮想通貨を取り扱うには、仮想通貨の仕組みや得られるメリット、そしてリスクとなるデメリットを理解しなければならない。
特に、仮想通貨をいち決済手段ではなく投資目的で扱う場合、株式やFXとの最大の違いは、上述した通り相場の上下が激しく、株式ならば存在するストップ高やストップ安がない点だ。
たとえば今年1月初旬、仮想通貨「ビットコイン」は、1BTCが200万円を超える高値で取り引きされていた。しかしその直後、1月の中旬には、ほぼ半額となる約100万円まで暴落した。
この暴落にはさまざまな要因が存在し得るが、ドイツが仮想通貨への規制を世界的に実施するようにとの見解を示したり、中国人民銀行が仮想通貨取り扱いの全面禁止について言及する等、世界各国の政策の影響を受けたという見方が有力だ。
このように仮想通貨は、グローバルに取り引きされている以上、日本国内だけでなく各国の政策の影響も受けやすく、仮想通貨に対する後ろ向きな情報が流れると、短期間で価値が暴落するリスクをはらんでいる。
その一方で、逆に前向きな情報によって、短期間で価値が高騰することもある。このことが、仮想通貨がハイリスク・ハイリターンでギャンブル性が高いといわれるゆえんであろう。
もちろん今挙げた例は、ビットコインにおける極端な例ではあるものの、可能性としてはほかのすべての仮想通貨に同様のリスクがあるといってよいだろう。これから仮想通貨に対する投資を始める際は、取引所の運営会社の状況や、仮想通貨自体の値動きを注意深く観察し、投資先を決定する必要があるだろう。
仮想通貨バブルは、2000年前後の「ドットコムバブル」と同じ!?
2017年は仮想通貨に対する注目度が総じて高く、高騰する仮想通貨が数多く存在し、銘柄によってはその価値が20倍にも跳ね上がるなど、巨額の収益を得た投資家が話題となった。彼らのことを俗に「億り人」などと呼び、投資家たちの憧れの対象となったことも記憶に新しい。
このように活発化した仮想通貨市場は“仮想通貨バブル”とも称され、この時期、仮想通貨への投資家は爆発的に増えた。しかし、2018年に入り海外の政策の影響、コインチェック事件、年明け早々に起きたほぼすべての銘柄の大幅な値下がりの影響などもあり、「仮想通貨バブルは崩壊した」といった見方も出てきた。
しかし、本当に「バブルははじけた」のだろうか。過去の株式市場の値動きなどとも比較すると、仮想通貨はむしろ、1995年~2002年にかけて盛り上がった「ドットコムバブル」のほうが類似性があると思われる。
ドットコムバブルは、インターネットの普及と共にIT関連銘柄の取り引きが活発化し、一部は異常なほどの値上がりをした現象を指す。しかし2000年にピークを迎えて以降は、米国の連邦準備制度理事会の利上げや、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロの影響を受け、それらの株価は一気に崩壊した。
しかし、である。IT関連銘柄はその後、インターネットというその後の社会インフラの発展と共に持ち直し、結局のところ2018年現在では、ドットコムバブル当時を上回る高値で推移しているのだ。
仮想通貨も、こういしたドットコムバブル同様、一時的には株価の大幅下落を経験したものの、インターネット同様に仮想通貨が経済活動のインフラとして整備されようとしている今日の流れを考えると、本当の値上がりはむしろこれから到来するではないかと期待できるのである。
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