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20日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)で、「もう1度働きたい! ママたちの再就職」という特集が流れていた。46歳の専業主婦が、17年ぶりの正社員として働くことを目指して奮闘する姿を追ったもので、同年代の主婦や働く女性たちから多くの反響を呼んでいる。
番組が密着したのは、46歳の専業主婦・やすこさん。やすこさんは短大卒業後に一般企業に就職したものの、結婚を機に退職。それからは、専業主婦として家事や育児に忙しく過ごしてきた。ふたりの子どもが成長して手が離れたことや、同窓会に参加した際に友人たちから刺激を受けたことをきっかけに、17年ぶりの正社員雇用へのチャレンジを決めたという。
志は高いものの、年齢やブランクを考えれば自分の市場価値が高くないことは重々承知している。朝、子どもたちや夫を見送ったやすこさんは、急いでスーツに着替え、ハローワークへと足を運ぶ。その日に募集を開始した企業に誰よりも早く応募することで、やる気をアピールするためだという。スキルアップのためにパソコン教室に通うなど、再就職に向けた努力は怠らない。
しかし40代でブランクのある専業主婦にとって、やはり現実は厳しいようだ。ハローワークで応募した14社中13社で書類選考落ちという厳しい現実を受け、「もう働ければなんでもいいです」と担当者に嘆くシーンもあった。唯一、書類選考を通過した医療機器メーカー会社の面接に臨んだところ、たった10分程度の面接で事実上の門前払いをくらい、ガックリと肩を落とす姿も印象的だった。
約4カ月にも及んだ就職活動は挫折が続き、結果的にやすこさんは派遣社員として働くことを選択した。いちど派遣社員としてスキルを身につけたあとに、正社員雇用に再チャレンジするつもりだという。当初の希望通り正社員とはいかなかったが、仕事を始めたやすこさんのもとを訪れたカメラは、「仕事が楽しいです!」と、晴れ晴れと語るやすこさんの笑顔を映していた。
この放送を受け、ネットでは多くの反響がみられた。「再就職いいな……私も世界を広げたい」「14社応募して1社決まるってすごいじゃん。私たぶんもう100社くらいは応募してるよなぁ……がんばろう……」「出産、子育てがブランクになることはわかるけど、遊んでたわけじゃないのにね」など、やすこさんと同じ境遇にいるのであろう女性たちからの共感や同情の声が多く寄せられたのだ。
やすこさんと同年代や少し上の世代には、バブルの頃になかば慣習となっていた就職&寿退社を経験した女性は多かったはずだ。86年に男女雇用機会均等法が施行されても、企業にとって女性は腰掛けという認識はまだまだ強く、95年に育児休業法が施行されるまでは働きながら出産・育児をこなすハードルは相当に高かった。現実的に、多くの女性は結婚を機に仕事を辞めざるを得なかったし、それが「女の幸せ」とも唱えられていた時代だった。
四半世紀を経た現在、「働く女性は美しい」「家庭の外でも活躍するママは素敵」という価値観にシフトしつつあることは、誰もが肌で感じている。それならばと、これまで専業主婦として生きてきた女性たちが、新たなキャリアに踏み出したり、パートや非正規雇用から正規雇用へのステップアップを目指したりするのも自然な流れだろう。
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