日本は「住みやすい国」か 海外調査で上位ランクインも、重なる課題

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Thinkstock/Photo by SeanPavonePhoto

 英誌エコノミストの調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が、「2018年世界で最も住みやすい都市ランキング」を発表。3位に大阪、7位に東京とトップ10にランクインした。同調査は、世界140都市を対象に実施され、「政治的安定性」「社会的安定性」「犯罪」「教育」「健康医療制度の利用しやすさ」などの項目から評価されたようだ。

日本は本当に住みやすい国なのか?

 ただ、このランキングを素直に喜んで良いものかはわからない。日本国内に住んでいて、テロや銃撃戦に巻き込まれることはほぼなく、それなりに安全に暮らしているとの実感を持つ人は確かに多数だろう。安価で美味しい食事を提供する飲食店は多く、医療アクセスも難しくはない。インフラ面では、たとえば大災害で崩壊した道路の復興スピードの速さひとつとっても優れていると感じられる。

 しかし一方で、ブラック企業問題に代表される劣悪な労働環境や、痴漢などの性犯罪リスクは存在する。また、子育てのしやすさという側面では、「産みやすく育てやすい」との実感を持てない人も多いようだ。公益財団法人1moreBaby応援団は今年、20歳~49歳までの未婚の男女約1000人を対象に「夫婦の出産意識調査2018」を実施。その結果、「日本は子どもを『産みやすい』国に近づいていると思う」との質問に、「近づいている」と答えたのが27.3%であるのに対して、「近づいていない」という回答が72.7%にのぼった。

 「日本は子どもを『育てやすい』国に近づいていると思う」については、「近づいている」(27.3%)、「近づいていない」(72.7%)と同じ割合になった。「産みにくい」と感じている人は、同時に「育てにくい」と感じているため、このような結果になったのかもしれない。

 また、「理想の子どもの数」は年々減少傾向にあり、2013年は「1人」(13.8%)、「2人」(47.2%)だった。だが、2018年には「1人」(16.8%)、「2人」(43.9%)と、「1人」が増加し、「2人」が減少していることがわかった。給与が上がりにくいため、子どもの数を抑えるようになった家庭もあるだろうが、日本での子育てを「やりにくい」と感じる夫婦の声は無視できない。

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