見過ごされた東京と大阪の闇
子育て世帯にクローズアップすれば、東京都と大阪府に限定しても“住みやすい都市”という点には疑問符がついてしまう。厚生労働省が今年の4月に発表した、東京都の待機児童数は8479人。日本全体の数は21080人なので、東京都には日本の3分の1以上の待機児童が存在することになる。また、千葉商科大学専任講師の戸室健作氏が2016年に発表した「子育て世代の貧困率」に関する調査によると、大阪府の18歳未満の子どもがいる世帯の相対的貧困率は日本で2番目に高い21.8%。(1位は沖縄県の37.5%)OECDが2013年に発表したデータによると、加盟国の子どものいる世帯の平均貧困率は13.3%で、世界平均を大きく上回っている。
EIUのランキングは、「政治的安定性」「社会的安定性」「犯罪」「教育」「健康医療制度の利用しやすさ」などの項目から“住みやすさ”を評価しており、あくまで旅行者向けのランク付けだろう。日本に長期的に住むことを前提してランキングを作成した場合、はたして今回と同じような結果になるだろうか?
このランキングから「大阪や東京はすごいんだ」「やっぱり日本は良い国だ」と改めて感じるのは勝手だが、素直に喜べる状況ではなく、まだまだ改善の余地はある。行政には住みやすいと思える国・都市づくりのためにまず、今現在「困っている」という声への速やかな対応実施が望まれる。
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