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大塚家具・久美子社長の「家具屋姫」バッシングは「悪い娘」への報いなのか

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大塚久美子 公式Twitterより

大塚久美子 公式Twitterより

 大手家具販売会社・大塚家具がいよいよ崖っぷちの状況だ。今年8月14日の中間決算では20億の赤字を計上し、3年連続で赤字が続いている。大塚家具といえば、現社長の大塚久美子氏(50)と、彼女の父で前社長の大塚勝久氏(75)が繰り広げたお家騒動が世間を騒がせた。あれから3年、分裂後の経営苦境を受けていまや久美子氏は「ダメな二世経営者の末路」「家具屋姫の大暴走」と集中砲火を浴びている。

 1969年に創業した大塚家具は、創業社長の勝久氏のもと、会員制の高級家具店として成長する。しかし近年はIKEAやニトリなど低価価格帯の家具メーカーの台頭によって売上が低迷。2009年の時点で、すでに14.5億円の赤字に落ち込んでいた。

 これを受けて2009年に父・勝久氏から経営を引き継いだ久美子氏は、中価格帯やリユース品の取り扱いに乗り出すビジネスモデルの転換を提案する。しかし、当時会長職に就いていた勝久氏はこれに猛反発。2014年には久美子氏を解任し、自ら会長兼社長として経営に携わるに至った。しかし2015年の取締役会にて、再び久美子氏の社長就任が決定。するとまたもやこの人事に勝久氏が反発し、親子の対立は深刻化する。2015年には、勝久氏が会見で「悪い子どもを持った」と発言し、親子の溝は決定的なものになっていた。経営権をめぐる一連のトラブルを、メディアは「お家騒動勃発」「骨肉の争い」とはやしたて、日本中を巻き込んでの大騒動となる。

 結果、勝久氏は高級家具路線の「匠大塚」を立ち上げて独立。久美子氏が、父の勝久氏を追い出すかたちとなった。久美子氏は大塚家具の社長就任後、親子で招いた混乱を「お詫びセール」で陳謝したり、店舗改装前に「売り尽くしセール」を行ったりと奮闘し、2015年12月の単独決算では4億3700万の黒字に転じさせた。しかし抜本的な改善は見込めず、業績は悪化の一途を辿っている状態だ。久美子氏が高級路線を捨てたことが、これまでの顧客離れを招いたというのが大方の見方で、久美子氏の経営センスを疑う声が続出している。

 大塚家具は銀座本店の家賃(月額9600万円)の支払いが苦しく、賃借元の三井不動産に家賃の引き下げを求めていたが、ついに今年3月に確認訴訟を起こして調停を始めたと報じられている。店舗のスリム化は以前より久美子氏が推し進めてきたことだが、銀座から立退くことになれば「大塚家具が都落ちした」との誹りを受けることは目に見えているだろう。

 現状を見れば、久美子氏の経営は失敗といえるかもしれない。しかし大塚家具の低迷は前社長の勝久氏の時代から始まっていたことでもあり、消費者のライフスタイルが大きく変わったいま、残念ながら高級路線が衰退するのは時代の趨勢だろう。業績低迷の理由は、お家騒動によるブランドイメージの悪化も挙げられる。久美子氏の手腕だけに全責任を被せる報道は、いささか乱暴ではないだろうか。

 また、大塚家具についての報道が、久美子氏への個人的な中傷の域に及んでいることには違和感しかない。7月19日の「デイリー新潮」は、大塚家具の株価が500円を割り込んだことを報じる記事に<大塚家具「久美子社長」が泣いた日>と見出しをつけ、<「もう、潰れるか、買収されるしかないのよ……」大塚家具の大塚久美子社長(50)が人目も憚らず、こう言って号泣した>と書き立てた。

 大塚家具は21日、この記事に対して<当社取締役社長のものとされる発言が掲載されておりますが、記事にあるような趣旨の話をした事実はありません>と抗議文を発表している。記事の真偽はともかく、週刊誌が大塚家具の株価低迷を「女社長の涙」に附していることには、久美子氏に対する含みを感じざるを得ない。

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