『かみさまは小学5年生』に見る、大人の期待に必死で答えようとする子どもの痛々しさ

連載 2018.08.28 00:15

胎内記憶布教の申し子

 すみれちゃんの言葉として語られる胎内記憶のお説は、基本的に布教者・池川医師のお説そのまんま。目新しいものはありませんが、これを10歳の女の子の口から語られる恐ろしさ&違和感を、みなさまとぜひ共有したい!

・「数えきれないくらいのママの中から選ばれたママってすごいよね

・「あかちゃんがいるママたち。あなたは、世界にひとりしかいない。あなたは、その子に選ばれました!!

・赤ちゃんに選ばれない理由→「ママのおなかの中があかちゃんが入れる状態じゃなかったり、心のどこかではまよっていたりほんとうはほしくないと思っていたりするとあかちゃんはそれが分かってしまう。だから『行かない』と選択する子はいる

・流産や夜泣きなど<ママが喜ばないこと>を赤ちゃんがする理由→「ママたちに守ってあげたいって気持ちを経験させるため」「人間には試練が必要だから。嫌な経験は本当にやりたいことにかぶさっている座布団みたいなのをはがしてくれる。その人を試すみたいに

・流産の原因→「あかちゃん自身が流産を経験したくて地球にきていることが多い。長い目で見たら、ママにとって絶対に大切な経験になる。悲しむことも生きるためには大事なことだし

 妊娠出産が、まだ現実の問題ではない小学5年生のすみれちゃん。スピ商人たちにより世に発信されてしまった自分の言葉がどれだけ残酷であるかをいずれ知るとき、どんな闇が待ち受けているのでしょう。心と体が大人へ向かう思春期直前に、どえらいツケを背負わせられたものです。

 すみれちゃんの言葉の合間に、編集者の語りとなる文章が差し込まれます。

「シンプル・イズ・ベスト どうかこの言葉が、世界中のみんなに伝わりますように」

「誰が言うかじゃない。なにを言ってるかだ」

 すみれちゃんを商品にすることを正当化する、なんとシンプルなお言葉。猛烈な毒素として、五臓六腑に染みわたりますわ~。

のぶみ氏、対談でゲスさを露呈!

 すみれちゃんを祀り上げるヤバい大人たちの中に炎上絵本作家・のぶみ氏も名を連ね、本物件のヤバみを底上げしています。

 空の上には神様がたくさんいて、ヒエラルキーがある。自分はその2番目だったが、自分だけが女神でほかの神様は全員男性だったと語るすみれちゃん(逆ハーレム設定、すでに中二病的香り……)。その設定に対し、のぶみ氏はこう突っ込みます。

「今晩、俺とつきあえよみたいなことを言ってくる男の神様はいない?」

 10歳の女の子に向かって、何言ってんだ。『あたしおかあさんだから』でボロクソに叩かれ、だいぶダメージを負ったようにお見受けしておりましたが、人の神経を逆なでさせる技量はまったく衰えていません。そんなゲスい質問をされながらも、どんどんテンションを上げていくすみれちゃんも、負けていないけど。

男の神様って飲んだくれだし、酔っぱらうし、うるさいし大変! 」「本当にむかついたときは辞めさせる」(※自分が偉い神様だからそれができる、ということらしい)

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山田ノジル

2018.8.28 00:15

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。

twitter:@YamadaNojiru

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