『かみさまは小学5年生』に見る、大人の期待に必死で答えようとする子どもの痛々しさ

連載 2018.08.28 00:15

 妖精話になり、「どこに行けば妖精にあえるのかな」とのぶみ氏がふると、すかさず期待に応えるすみれちゃん。

ほら今、のぶみさんの腕の上とかにも。ここにきたときからずっといた

「セラピーとかセッションって女のキャバクラだよな」と思うことが少なくありませんが、心のない適当トークで女子を持ち上げつつ、気持ちいい言葉を返してもらう<ご接待>に見えてしかたありませんわ。しかも10歳の女の子に。

 このほか、<幽霊も六本木で酒盛りしている>だの、<宇宙ではラーメンとアーモンドチョコが人気>だの、子どもの生活圏で想像できる範囲のファンタジートークが繰り広げられていきます。これが幼稚園児くらいなら「子どもって面白い」くらいで済むのですが……ねえ。

 胎内記憶というトンデモ物件に登場するのは、空気を読んで大人の機嫌をうかがい、大人の求める回答を口にする子どもたちです。その語りを「宇宙の真理!」と商売に利用する前に、その子がなぜそれを口にするのかを考える人はいないんでしょうか。同書の帯や車内ポスターにあるキャッチは「涙がこぼれる不思議な実話」。感動の涙でなく、すみれちゃんがこう語る境遇を想像し、思わず涙がこぼれる人も多そうですね。

 子どもの何気ない言葉は、宝物です。時に純粋で時にバカ、たまに高度な質問が四方八方から飛んでくる「夏休み子ども科学電話相談」などは、子どものきらめきとしか言いようがありません。超余談ですが、昨年は神奈川県のあかりちゃん(4歳)が神でしたね。「だんごむしはなぜまあまう(丸まる)タイプとまあまあない(丸まらない)タイプがあるんですか」。視聴者もスタジオ内もメロメロ~。それに回答する昆虫学者・丸山宗利氏のこれまた優しいこと。こういう素朴なやりとりにこそ、「感動で涙がこぼれる!」が生まれるんじゃないかな。

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山田ノジル

2018.8.28 00:15

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。

twitter:@YamadaNojiru

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