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星野源が『逃げ恥』ブームに抱いていた葛藤、「アイデア」の暗い歌詞に反映

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 2017年の星野源といえば、2016年末の「恋」(10月5日リリース)および『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/10月11日から12月20日放送)により国民的なスーパースターの仲間入りを果たした直後の1年だった。リリースはシングル「Family Song」(2017年8月リリース)のみだが23万枚の売上で、オリコン年間シングルランキングの26位に輝いている(ちなみに、1位から25位までは、秋元康プロデュースのアイドルグループ、ジャニーズ事務所所属のアイドル、BTSとTWICEですべて占められている)。

 そんな端から見れば順風満帆ななか、星野源の心は静かに病み始めていた。「MUSICA」(FACT)2018年9月号のインタビューで彼は、心がだんだんと荒んでいった理由をこのように語っている。

<自分の周りは台風なんだけど、一応小屋の中にいるっていうような感じ。で、そこでじっとしているっていう感覚だったんですよね。で、今改めて考えてみると……自分自身が、確かに自分なんだけど、ふと、それが分かれてそれぞれひとり歩きしていく感じっていうか……自分っていうものが分離していくような感覚っていうんですかね>

 SAKEROCK時代から一貫して星野源は耳の肥えた音楽好きから注目される存在だったし、俳優や文筆の仕事も高い評価を得るサブカル界のスターではあった。

 しかし、『逃げ恥』ブーム以降の注目のされ方はまったく違うものだった。これまであまり縁のなかった週刊誌や地上波のテレビ番組でも多く話題にあがるようになっていく。そこでは、音楽専門誌やサブカル誌のように星野源の活動を丁寧にすくいとってはくれないし、紙幅や放送尺の関係から媒体の都合の良いような文脈に落とし込まれる作業も当たり前のように行われる。

 彼はインタビューのなかで<メディアっていうものって、どうしても自分を自分じゃなくしていくっていう作用があるじゃないですか>(「MUSICA」より、以下同)と語り、自分について語られている言葉がひとり歩きして、勝手なイメージをつくられていったと振り返る。

 それは「有名になる」ということの代償として必ずついて回るものである。星野源自身<たぶんこれがやりたかったんだなっていう自分もいたし>と、成功を楽しんでいた部分もなくなはなかったと語っているが、それでも心のなかにわだかまりは残る。そのときの気持ちを彼は<その中で明らかに何か敵意みたいなものがどんどん溜まっていくっていうか>と振り返る。

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