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『検察側の罪人』、突然登場する安倍政権揶揄やインパール作戦の描写に観客は当惑?

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 戦後73年が経ち、実際に戦争を体験した世代が鬼籍に入っていくのとタイミングを合わせるかのように、この国では「戦争ができる国づくり」へ急速に歩を進めつつある。

 そのような社会状況は原田監督にとってとても重要な問題で、『検察側の罪人』の原作を大きく改変してでも伝えたい要素であったのだろう。

 地上派テレビのニュース番組をはじめ多くのメディアが政権批判に及び腰になるなか、いっさいの忖度なしで直接的な風刺を入れた気骨溢れる姿勢には大きな共感を覚えるが、『検察側の罪人』の場合は少し食い合わせが悪かったのかもしれない。

 前掲「週刊金曜日」のインタビューのなかで原田監督は、戦争に関する映画づくりは『日本のいちばん長い日』のリメイクだけで終わらせるつもりはなく、<ポツダムと日本国憲法についても作って、戦争映画のトリロジー(三部作)みたいな感じにできたら一番いいですけどね>と語っていた。こういった作品ならば、原田監督のメッセージがいかんなく込められるものになるだろう。それを見たい観客も少なくないはずだ。

 原田監督の演出のもとで、『検察側の罪人』主演二人の演技は伸び伸びと輝いている。木村拓哉はこれまでの彼のパブリックイメージを打ち崩す「弱い木村拓哉像」という新たな境地を見せているし、二宮和也も松倉を尋問する際の暴力的な演技は観る者を惹き付ける。一見の価値がある映画なのは間違いない。

(白石 広)

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