AIに仕事を奪われるのは「本を読む力がない人」?

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Thinkstock/Photo by kishore kumar

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AIに仕事が奪われる」

 最近よく耳にするようになったセリフだAI(人工知能、Artificial Intelligence)の進化により、今は人間が担当している仕事もAIに任せることが出来るようになり、仕事にあぶれる人間が出てくる……という未来の話は、しばしば話題になる。すでに多くの単純労働は機械化されたが、AIによって思考を要する労働もまた奪われるのではないか、という未来予想図があるのだ。

 すでにAIは私たちの日常―スマートフォン、自動車、インターネット、スマート家電などなど―に浸透している。しかし実際のところ、AIがどのような場面で我々に関与しているのか、「よくわからない」という人も多いのではないだろうか。

 アンケートサイト「HoNoTe」は昨年、2060代の1000人を対象に実施した「AIに対する期待と不安」に関する調査結果を発表。AIに期待しているかと聞くと、「あてはまる」(22.6%)、「ややあてはまる」(43.8%)と約6割。一方、AIに不安があるかに関しては、「あてはまる」(10.1%)、「ややあてはまる」(30.1%)と4割ほどで、AIのイメージを「怖い」と回答した人も「あてはまる」(10.7%)、「ややあてはまる」(28.9%)だった。どういった仕組みのもので、何に寄与するのかよくわからない……という“知らないこと”が、不安や恐怖に結びついている可能性もある。同様に、よくわからないからこそ「なんかすごそう」と期待する人もいるのだろう。

AIは私達のパフォーマンスを高めてくれる

 AIの議論になると、どうしても「人間vsAI」という構造になりやすい。確かにAIが人間に代わる業務もあるだろうから、AIに仕事が奪われる」は間違いではない。ただAIは私達の能力を最大化してくれる補佐的な役割を担ってくれる、とも考えられるだろう。

  株式会社Emotion Techとコグニティ株式会社は、営業でのセールストークのレベルアップを支援するサービスを開発した。営業成績や営業トークなどを統計解析やAIを用いた分析を行い、営業成績の優れているスタッフは何が優れているのかを明確化。他のスタッフへの教育や、営業マニュアルの作成につなげていく。

 東京海上日動火災保険では、顧客対応力を向上させるため、社員教育にAIの導入を決定した。過去の事例をAIが分析し、より適切な対応を社内で共有する狙いがあるという。

 これらの企業の取り組みからもわかるように、AIは必ずしも私達の仕事を奪うわけではなく、私達がより良いパフォーマンスを発揮する手助けになる。“人類を脅かす新しい生命体”のようなイメージを持つのは誤りだ。

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