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上司の命令に納得できないときの4つの選択肢 「送りバントの指示」に選手は絶対服従すべきか

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Thinkstock/Photo by tuaindeed

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送りバントの指示が出されたときの4つの選択肢

 上司が部下に違法行為を命じるのは、許されることではない。部下としては違法と知る以上、それに従うわけにはいかない。もちろん、上司に逆らって解雇されて路頭に迷うのは嫌だ、とかいろいろ考えるのも無理はない。

 しかし、違法行為に当たらない業務命令の場合はどうであろうか。小学校の道徳の教科書に、監督から送りバントを命じられた少年野球の選手が自分の判断でバットを振り、結果としてヒットを打ってチームの勝利に貢献したが、監督に叱られた、といった話が載っているそうなので、その例で考えてみよう。

 上司の指示に納得できない場合、部下の選択肢は4つである。

1. 「何も考えずに従う(送りバントをする)」

2. 「自分の頭で考えて、上司の指示が正しくないと思ったら、指示を変えるように提案する。提案が通らなければ、諦めて指示に従う(送りバントをする)」

3. 「自分の信念に従って行動する(バットを振る)」

4. 「提案が通らなければ辞表を出す(笑)」

 4番はともかく、1番の場合はいかがであろうか。ビジネスにおいては、ケース・バイ・ケースであろう。上司の性格にもよるだろうし、上司の指示にいちいち考えてから行動していては組織が円滑に回らない場合もあろうから、重要でない指示には何も考えずに従う、といったことはあり得よう。

 2番目が、道徳の教科書的には模範解答なのかもしれない。選手は選手なりに考えて提案し、監督はチーム全体のことなどを幅広い見地で考えて、選手の提案の採否を決定する、というのは望ましい流れである。もっとも、すべての案件について会議を開いていては、仕事の能率が落ちてしまうので、これもケース・バイ・ケースの判断になろう。

 では、3番目(バットを振る)はいかがであろうか。まず、絶対にやってはいけないのは、ランナーにも内緒でバットを振ることである。ランナーはバッターが送りバントをすると信じて行動するのであるから、その信頼を裏切ってはいけない。組織の行動としてチグハグなものとなり、結果もうまくいかない場合が多かろう。

 そこで、ランナーにバッターの意思(監督に逆らう)が事前に伝わることも想定される。そうなると、ランナーとしては自己の保身のために監督に「告げ口」をする可能性が高い。「バッターがバットを振るようなので、それを前提に走塁します」と伝えるのである。それならば、やはりバッターが最初から監督に相談すべきであろう。

 問題なのは、ランナーも賛成して、2人で黙って監督の指示に逆らおう、ということになった場合である。監督に提案せずに、という場合であっても、監督に提案しても却下されたので、という場合であっても同じことである。

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塚崎公義

久留米大学商学部教授。東京都生まれ。1981年、東京大学法学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。著書に『一番わかりやすい日本経済入門』『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由(9月24日発売予定)』(いずれも河出書房新社)など多数。

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