9月10日の代表監督お披露目を、フン・セン首相が前宣伝
7月の総選挙(下院・定数125)で全議席を獲得し圧勝したフン・セン首相も、今回の本田選手の「実質的な」代表監督就任を大歓迎しており、自身のFacebookページに、
「カンボジアは、サッカーカンボジア代表チームに、2年間、無償ボランティアとして指導してくれる日本の優秀なサッカー選手、本田圭佑さんをお迎えるできることを喜ばしく思います。本田圭祐さんは、カンボジアのスポーツ振興に大きな関心を持たれていると聞いています。
国民の皆さん、来る2018年9月10日に(プノンペンで)開催されるカンボジア対マレーシアのサッカーの試合をぜひご覧になって下さい。あらゆる分野での、カンボジアへの支援を惜しまず、常に気にかけてくださる本田圭佑さんと日本政府に感謝を申し上げます」
と書き、9月10日の本田圭佑選手の「監督」としてのお披露目を前宣伝している。

2016年、フン・セン首相を表敬訪問した際に首相とセルフィー(提供:小市琢磨)
本来、スポーツと政治は別物で、本田圭佑選手もカンボジアの内政に首を突っ込むつもりはないはずだ。とはいえ、フン・セン首相とのセルフィー(自撮り)に応じたり、“代表監督”就任を発表した記者会見に、米議会から“要注意人物”と名指しされているカンボジア・サッカー連盟のサオ・ソカー会長と共に臨み、「僕がここに来たというもう一つの理由は、サッカーを強くするためではなく、カンボジア全体の素晴らしいところを、世界に伝えていくこと」と発言する本田選手に対しては、現地のNGOや人権団体が「本田選手の善意が利用されている」と眉をひそめている。
「僕は常識という言葉が嫌いなんです」と発言するなど、時にビッグマウスといわれた本田圭佑選手はW杯に3大会連続出場し、今回のロシア大会においても世界を何度も「アッ」と言わせてきた。
フン・セン首相や現政権の幹部と親密な関係を保ち、相手に“本田”を利用していると思わせつつも、ここはぜひ、天才的な“ケイスケホンダ”の流儀を貫いてほしいものである。
まずは世界166位の弱小サッカーチームを2023年のSEA Gamesで優勝させ、東南アジア諸国のチャンピオンにする。ビッグマウス本田なら、そんな奇跡も必ず起こせると期待したい。
【文/本田路晴&小市琢磨(ロボティア編集部)】
【筆者】
本田路晴(ほんだ・みちはる)
1997年8月から2001年5月まで新聞社特派員としてプノンペンに駐在。その後もカンボジアをウォッチし続ける。
小市琢磨(こいち・たくま)
カンボジア在住22年。カンボジア人妻との間に上は21歳から下は5歳まで5人の子どもあり。現地において長年、日系メディアのコーディネートや取材を行っている。2018年のカンボジア総選挙では日本からの唯一の選挙ミッション代表。
1 2