「かぼちゃの馬車」不正融資のスルガ銀行 岡野光喜会長と岡野家の4代にわたる“世襲の構造”

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実は地方に多い、銀行トップの世襲

 一般に銀行は、高学歴の超エリートが出世競争を争うイメージが強く、世襲とは無縁と考えられがちだが、こと地方銀行においては世襲が少なくない。

 現在でも創業者一族が頭取を務めているのは、スルガ銀行の岡野家をはじめ、七十七銀行(本店は宮城県仙台市)の氏家(うじいえ)家、山形銀行(本店は山形県山形市)の長谷川・三浦家、大垣共立銀行(本店は岐阜県大垣市)の土屋家、百十四銀行(本店は香川県高松市)の綾田家などがある。これは、いわゆる純然たる地方銀行の方で、第二地方銀行を含めるとさらに多くなる。

 スルガ銀行が世襲を続けてこられた理由のひとつに、岡野家の強いリーダーシップがある。

 スルガ銀行といえば、創造性があって積極果敢というイメージがある。良い意味で「銀行らしくない銀行」である。

 東に地銀トップの横浜銀行、西に堅実第一の優良地銀・静岡銀行という二大地銀に挟まれていながら、東京に近い立地を生かして、積極的に静岡県外に打って出て、独自戦略を展開する。

 それができたのは、創業者一族がトップに君臨して、ツルの一声で縦横無尽に動ける、同族経営のメリットを最大限に活かせたからだろう。

「かぼちゃの馬車」ずさん融資問題で引責辞任か 名経営者岡野光喜会長と、スルガ銀行・岡野家の4代にわたる世襲の構造の画像3

スルガ銀行公式サイトの、2018年9月現在のトップページ。インターネット決済等にも早い段階から進出し、一時は「地方銀行運営のモデルケース」などとも称された。

「銀行頭取ランキング」1位の“名経営者”岡野光喜

 今回、辞任を余儀なくされた岡野光喜も、かつては名経営者の名をほしいままにしていた。

 たとえば、横浜銀行・静岡銀行に負けないように、高収益を上げていた米国の地方銀行を研究し、CRM(顧客情報管理)を導入。そこに蓄積した顧客情報をもとに、きめ細やかなマーケティングを展開。他の追随を許さぬ経営を実現していたのだ。

「かぼちゃの馬車」ずさん融資問題で引責辞任か 名経営者岡野光喜会長と、スルガ銀行・岡野家の4代にわたる世襲の構造の画像4

スルガ銀行公式サイト内の「会長メッセージ」のページより

 こうした経営が評価され、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)2015年9月19日号に掲載された「銀行頭取ランキング」では、三井住友銀行の頭取、國部毅を抑えて堂々の1位になっている。

 しかし、積極経営は、時として経営の暴走といわれる事態を招くことがある。これも同族経営の特徴とされるデメリットのひとつなのだが、残念というほかない。

(文/菊地浩之)

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