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小学6年生と中学3年生を対象に行われた2018年度の全国学力テストで、大阪市は2年連続で政令指定都市の中で最下位だった。この状況を深刻に受け止めた大阪市の吉村洋文市長は、8月2日に行われた記者会見で「結果目標を定め、達成の可否で小中学校の校長や教員らを評価して給与に反映させたい」と発言。来年度からの全国学力テストの結果を、校長や教員の人事評価とボーナス(勤務手当)に反映させる考えを明らかにした。
また、吉村市長は同16日の会見で「人事評価に厳しいものを求めるならば、(私自身も)責任を示さなければならない」と来年度も最下位だった場合、自身の来夏のボーナスは全額返上すると宣言している。
簡単に不正が予想される謎制度
この考えが実現すれば学校側による不正が必ず懸念される。東京都足立区の小学校では、過去に実施された学力テストで、教師が児童の答案を指差し誤答を指摘する不正が行われた。テストの順位による、区からの予算額の増減や入学者数の影響などを恐れたことが背景にあったと考えられている。足立区同様、大阪市でも学校側が不正をしてでも最下位脱出を計画するかもしれない。そうなってしまうと、本来の「子どもの学力を上げる」という目的は果たせないだろう。
そもそも、このような取り組みは過去にアメリカでも実施されたらしいが、散々な結果だったようだ。8月16日の『バラいろダンディ』(MX系)に出演した勝間和代は
「2000年の初め頃にアメリカでまったく同じことをやっていた」
「大失敗したんですよ。どう失敗したのかは簡単で不正が横行したんです」
「先生たちが自分のボーナスを上げたり、自分がクビにならないために、子どもたちの点数をわざと不正な方法で上げようとした」
と語っており、大阪市でも同じ事態は予想される。
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