東京オリンピック・パラリンピックは自主的なボランティアを11万人集められるか

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東京五輪公式サイトより

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善意を利用した“やりがい搾取”という批判

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は(以下、組織委)、運営に関わる大会ボランティア(8万人)募集要項を決定し、都市ボランティア(3万人)の募集要項と併せて公表した。

 この東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020大会)のボランティア募集要項が、今、批判の対象となっている。ボランティアの善意を利用した“やりがい搾取”という批判の声もある。その理由になっているのが、以下のような厳しい参加条件だ。

大会ボランティア募集要項

・10日以上を基本。
(競技スケジュール、活動内容、活動場所等によっては、シフト等の都合により10日を下回る場合も)

・連続での活動は、5日以内を基本。

・休憩・待機時間を含み、1日8時間程度。

・1人1回オリエンテーション・共通研修への参加。
(オリエンテーション、研修及び活動期間中における滞在先までの交通費及び宿泊は、自己負担・自己手配)

引用元:東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 大会ボランティア募集要項

ボランティア活動だけに専念できる状態ではない

 『ブラックボランティア』(角川新書)を出版している著述家の本間龍氏は、「現代ビジネス」でこの募集要項に異議を唱えている。

<『1日8時間程度、連続では5日以内としながら合計10日以上できる人、事前の研修にも参加できる人』とあり、『交通費も宿泊費も自己負担』です。
 発表後、さすがに反発が強かったため、交通費については一部負担を表明しましたが、上限が千円程度、と全額ではありません。
 組織委の発表したこの募集要項で私がさらに驚いたのが『東京大会を成功させたいという熱意をお持ちの方』というところです。精神的な条件まで付加するとは…どこまで厚かましいのかと思ってしまいます>

 ボランティア日数、時間を考慮すればボランティア活動だけに専念できる状態ではなく、宿泊費やボランティア期間中のプライベートとの兼ね合いも検討しなければならない。

 関東在住者であれば少しは負担が軽減されるが、地方のボランティア希望者からすれば宿泊場所の確保なども頭に入れておかなければいけないだろう。

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