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異例の「りぼん」マンガ『さよならミニスカート』のヒロインはなぜ傷ついているのか

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 女児向け月刊マンガ誌「りぼん」(集英社)で2018年9月号より連載中の牧野あおい『さよならミニスカート』が話題である。話題にすべく「りぼん」側が大々的に仕掛けたと言っていい。新連載にあたって特設サイトを展開、宣伝動画まで用意する気合の入りようだ。同誌新編集長の相田聡一氏によるスペシャルメッセージも公開された。『さよならミニスカート』を端的に表す言葉として用いられたのは<異例>。

<異例。この連載は、何があろうと、続けていきます。あなたに届けるために>
<このまんがは、異例です。面白さも異例ですが、何よりも私たち編集部のココロの動かされ方もまた、異例でした>
<このまんがに関しては、何があろうと、読者のみなさんに面白さが伝わるまで、連載をし続けていきます。それくらいの覚悟を示せるまんがと出会ってしまったのです>
<このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。今こそ、読んでください。今こそ、すべての女子に捧げたい>

嫌悪され忌避される話題を正面から扱っている

 「りぼん」がターゲットとする読者層は小学5年生・6年生が中心だという。小学生に、あるいは対象が中学生だとしても、この作品を届けるのは「ちょっと早いんじゃないの」と懸念する大人もいるかもしれない。「寝た子を起こすな」と性教育に消極的な人々は特にそうだろう。『さよならミニスカート』の主人公は暴力被害にあった元女性アイドルで、クラスメイトは痴漢被害に遭い、男子生徒たちはホモソーシャルに支配されている。男子から女子への性的な目線、それを受け入れる女子、抗う女子――そうした“現実”がはっきりと描かれている印象だ。

 主人公は、高校1年生の神山仁那(かみやま・にな)。スラックスの制服で通学している彼女は、半年前まで人気アイドルグループ「PURE CLUB」のセンター・雨宮花恋として活躍していた。しかし握手会で男に刃物で切り付けられ、心身に傷を負って引退。犯人は捕まっていない。

 仁那は髪を短く切り、スカートを履くのをやめ、東京を離れて過去を隠しながら高校生活を送っている。女子で唯一スカートではなくスラックスを履いている仁那は、クラスで浮いた存在だ。

 第1話では、仁那のクラスメート・長栖未玖(ながす・みく)が下校中に変質者に襲われる事件が発生する。短いスカートを好んで履き、色白で細くてかわいいと評判の未玖は、男子からも女子からも人気でクラスの中心的存在だ。仁那に「どうしてスカート履かないの?」「もったいないよ~~っ」と話しかけもする。

 未玖が性被害に遭ったことに対して、担任は「下校中にすれ違いざまに太ももを触られた“だけ”だ」と説明。一部の男子は「俺も未玖ちゃんの太ももなら触りてー」「変質者羨ましいわ」「あんな短いスカート触りたくもなるだろ」と茶化し、女子に咎められると「そんなに怖いならスラックス履けよな」「結局さー男に媚び売るために履いてるんだろ? スカートなんかさ」と毒づく。その男子に仁那は、「スカートはあんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ」と掴みかかるのだが、当事者の未玖は微笑んで「も――っ ひっどぉ~~~いっ」「ホントに恐かったんだからぁ~~~」「今度そーいうこと言ったらおこるよっ」「もーっみんな大げさっ! たかが太ももだよぉ!?」と、男子生徒たちを安心させるのだった。

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