異例の「りぼん」マンガ『さよならミニスカート』のヒロインはなぜ傷ついているのか

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 ミソジニーを内面化した男子生徒たちにとって理想的な女子である未玖は、「りぼん」2018年10月号掲載の第2話でも象徴的な存在として描かれる。未玖がテレビニュースの街頭インタビューに応じ、女性専用車両の導入について「え―――っ 私は普通の車両でいいです~~~っ」「だって~~女の人だけで1両使っちゃうのってなんだかお仕事に疲れてるサラリーマンさんたちに悪いなーって……」と答えたことが、ネット上で「朝のニュースのJKが可愛すぎ!言ってることも正論すぎる…!」と拡散された。学校では「女性専用車両に乗るのはブスだけ」と広まるが、しかしクラスの地味な女子生徒“辻ちゃん”は痴漢被害で悩んでいた。

 これは現実に起きていることをそのまま表現しているといっていいだろう。“ブス”や“おばさん”が「痴漢が怖いから女性専用車両は必要」と言い、“若くて可愛い女子”が「私はどの車両でもいいです」と言う――そんな街頭インタビューの様子が過去、実際にテレビニュースで流れたことがあり、そのキャプチャ画像は今も繰り返しネット上の会話で貼られている。マンガではなく、現実にそうなのだ。

 クラスメイトの男子生徒・光は、妹が担任からセクハラを受け不登校に追い込まれた。しかし妹はPURE CLUBの動画に励まされ「アイドルは女の子の自分を許してくれるんだ」と言っていたというシーンがある。女に生まれたというだけで一方的に性的対象にされ性暴力にさらされる理不尽に、女である自分自身を呪いたくなる気持ちが湧き出ることはある。痴漢やセクハラなどの性被害を取り上げることを「過激だ」と忌み嫌う向きもあろうが、この作品では女性たちが目を背けず知っておくべきことが描かれようとしている。

 『さよならミニスカート』は間違いなく意識的にフェミニズムの考え方を取り入れており、「常識」としてこの社会に浸透しているミソジニーを可視化している。それは確かに<異例>で、大きな意義を持つ。

 フェミニズムは男性vs女性という構図で捉えられがちだが、そんなに単純ではない。多くの女性もまたミソジニーを内面化しながら生きてきたし、ホモソーシャルな関係性にうんざりしている男性もいる。子供のうちから、おもちゃやメディアを通じて「男の子は/女の子は、どういう生き方をすべきか」を刷り込まれてきた私たちは、“世間”に期待される振る舞い方を覚え、また「浮かない」ように生活する術を身につける。そうした型を強制しない、個人を尊重した社会にしていこうというのがフェミニズムだろう。

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