元犯罪者専用の求人、業種の偏りが著しい現状 性犯罪・重犯罪はNGも

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Thinkstock/Photo by ilkercelik

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 非行歴・犯罪歴のある人の採用支援サービスを行うヒューマン・コメディ社が9月1日、専用求人誌『Chance!!vol.3』を刊行した。PDFでも閲覧が可能だ。同誌には15社の求人が掲載されている他、社会復帰を果たした元受刑者のインタビューや履歴書の応募方法など、バラエティ豊かな内容になっている。

再犯させない環境を作る必要がある

 法務省が2015年に発表した「再犯キャラバン」によれば、「約3割の再犯者によって、約6割の犯罪が行われている」と書かれており、再犯者が犯罪件数を増やしていると指摘している。犯罪件数を減らすためには、「再犯者に犯罪を繰り返させない」ことが重要になってくると言えそうだ。

 また、同調査では「刑務所へ戻ってきた者のうち、再犯時に無職だった者」は70%もおり、「仕事の有無で再犯率に4倍の差」と指摘している。先月、「東京・綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯行グループの1人だった男が殺人未遂の容疑で逮捕されたが、この男も無職だった。

 綾瀬コンクリ詰め殺人事件の犯人たちは4人のうち3人が何らかの再犯をしており、ネット上では「死刑にしておけば防げた事件」と過激な意見も少なくない。しかし「約3割の再犯者によって、約6割の犯罪が行われている」「仕事の有無で再犯率に4倍の差」ということを考えれば、受刑者が出所後に働きやすい環境を整備することが、安全な国作りへの“合理的”なアイデアなのではないか。

 今の時代、犯罪者の名前をネットで検索すれば、簡単に前科がわかる。犯罪歴を隠しての就職は難しくなっているだろう。受刑者専用求人誌『Chance!!vol.3』は、受刑者の生活を守るだけでなく、犯罪抑止という点でも、非常に素晴らしい取り組みと言える。

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