ビジネス

「日本の携帯料金は高すぎる」携帯電話会社は儲けすぎているのか?

【この記事のキーワード】

端末の機種変更がなくなると、日本は痛い?

 さて、ここでもう一つ、意外な面から日本の経済に与える影響を見ておきたい。

 大手携帯キャリア3社は携帯電話の契約時に、端末代金を値引きすることで、どんどん新しい端末が普及することに貢献している。次々と新しい端末に機種に変更することは個人的には不経済に感じるが、ここが経済のややこしいところで、誰かが使ったお金は誰かの収入になる。

 やや古いデータで恐縮だが、「iPhone Quiz:Where Your Money Actually Goes | Inequality for All」を見ると、iPhoneが売れるとどこの国が潤うのかがグラフィカルにわかるようになっている。

 Appleは米国企業で、iPhoneは中国で製造されていることから、当然この2国が断トツで儲けていそうだが、実際には34%と最も取り分が多い日本が潤っていたのだ。2番目が17%のドイツ、そして3位が13%の韓国、そして4位にやっと6%の米国が登場し、中国はなんと5位の3.6%だった。

 これは、フラッシュメモリやディスプレイ、タッチスクリーンなどを東芝などが、FEM(フロント・エンド・モジュール)を村田製作所などが供給しているためだ(現在は韓国の比率が上がってきているかもしれない)。ということは、大手携帯キャリア3社が大幅な値下げのために端末を安く提供することをやめて端末が売れなくなると、巡り巡って日本の製造業の部品も売れなくなってしまうということになる。

個人的にはどーんと下がってほしい料金、しかし…

 今回の携帯料金の値下げ発言問題をきっかけに行った考察からわかったことは、我々は常に経済学が言うところの「合成の誤謬(ごびゅう)」にとらわれているということだ。合成の誤謬とは、ミクロの視点で正しいことがマクロの視点では意図しない結果になるということを示す。

 たとえば、預貯金や節約は個人にとっては美徳で励むべきことだが、経済全体から見れば、消費が低迷して景気が悪化することにつながってしまう。このことを携帯料金の値下げに当てはめると、我々ユーザーにとっては料金の大幅値下げは歓迎すべきことだが、日本の技術競争力の維持や部品メーカーの利益(それが社員の給料やボーナスの原資になる)を維持するためにはマイナスかもしれない。経済というのは「巡り巡って……」という、実にやっかいな仕組みを内包しているのだ。

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。