BTS(防弾少年団)はなぜ世界を制圧できたのか?

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 たとえば、「DOPE」では、「三放世代」(低賃金により「恋愛」「結婚」「出産」を諦めざるを得なくなった若者を指す総称)といったワードを歌詞のなかに入れ込み、自分たちの世代を簡単にカテゴライズしたうえ見放そうとする大人やメディアへの怒りを歌っている。

 そういった<You can call me artist>といえる要素は歌詞の内容だけではなく、音楽的な技術やヒップホップ文化に対するリテラシーの高さという面でも同じだ。

 『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)6月12日放送回にゲスト出演した丸屋九兵衛氏(音楽情報サイト「bmr」編集長)は、2014年に自身が行ったBTSとのインタビューの思い出を語りながらそういった点を指摘する。

 丸屋氏はインタビューのなかでBTSの各メンバーに「好きなアーティストは?」という質問をぶつけたのだが、その回答に驚かされたと語っていた。

<シュガ君がすごくて。この人1993年生まれですよ。『好きなアーティストはボーン・サグズン・ハーモニーとスリー・6・マフィアです』と。1993年生まれの男がそれを好きって、すごいでしょ>

 ボーン・サグズン・ハーモニーもスリー・6・マフィアも、両方とも1990年代中盤に活躍したアメリカのヒップホップグループ。シュガにとっては生まれたちょうどその頃に全盛期を迎えていたグループであり、ブラックミュージックの歴史を勉強していないとこれらの名前は出てこない。

 こういった逸話を紹介したうえで丸屋氏は、BTSがアメリカで成功した理由を<ヒップホップリテラシーが高い。韓国人ラッパーのなかでもずば抜けてヒップホップリテラシーが高かったというのも、あるのかもしれないなと思って>と指摘する。

 ただ、BTSがグルーバルな成功をおさめ、さらに、少女時代やBIGBANGや2NE1などのK-POPグループがどうしても崩しきれなかった牙城であるアメリカのチャートまで手中におさめたのは<You can call me idol>の要素を決して忘れなかったからでもあるのかもしれない。

 BTSの楽曲はヒップホップ・R&Bの最新トレンドを取り入れつつも、ひとつのフレーズのループだけで楽曲全体を押し切ることも多いアメリカのヒップホップ・R&B系ヒット曲とは違い、「Aメロ、Bメロ、サビ」的な展開のある構成を堅持している。

 「ミュージックマガジン」(ミュージックマガジン社)2018年8月号に掲載されたsoulitude氏と鳥居咲子氏による論考のなかで二人は、パン・シヒョク氏による<BTSを制作した初期段階からK-POP特有の価値観は守っていこうと思っていた>という発言を引用しつつ、アメリカのブラックミュージックの傾向に寄せ過ぎずにK-POPアイドルのかたちを守り続けたことが、逆にアメリカでの成功を呼び寄せたのではないかと指摘する。

<前の世代のK-POPアイドルがアメリカ進出を試みた頃は、現地のプロデューサーを雇って現地のトレンドに溶け込むような楽曲で勝負しようとした。タイミング的に合わなかったという部分もあるかもしれないが、やはりそのやり方だと現地のアーティストの音楽を聴けば済んでしまうという点で結果が実りにくかったのではないだろうか。対してBTSはありのままのK-POPで勝負に出た。グルーバルに注目されるようになってからも、その姿勢や音楽性は変わらなかった。彼らでないとできない音楽、彼らでないと出せない魅力を守ってきた>

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