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のぶみ新作絵本『はたらきママとほいくえんちゃん』が発売前から炎上中「全然リアルじゃない」

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ママと一緒にいたいから発熱する?

 もうひとつ、こちらこそびっくりなのが、<子どもはママともっといっしょにいたいから熱を出すことがあるそうだ>という一文である。

<そんなことあるの?ってびっくりしたのは、子どもはママともっといっしょにいたいから熱を出すことがあるそうだ だから保育園で熱だして、ママがむかえにいくと熱がさがるんだって それで保育園になれてくると熱ださないようになってくる(もちろんそうじゃない子もいますよ)>

 いやいや、保育園の集団生活をスタートしたばかりの時期は子どもは様々な病気に感染して発熱などするものだが、徐々に免疫を獲得して体が丈夫になっていく……という経緯が、どうやったら<子どもはママともっといっしょにいたいから熱を出すことがあるそうだ>との解釈になるのか。

誰のための絵本か

 のぶみ作品の多くは、母親を葛藤や罪悪感から解放すべく描かれているが、正直なところ逆効果ではないかと思う。解放というよりもむしろ、現代の母親を旧来の母親像から逃すまいとがんじがらめにする作風といえるのではないか。

 たとえば「こどもとしごとどっちとる? そりゃこどもにきまってんでしょ」という、まるで恋人同士の喧嘩の代名詞とされている「私と仕事とどっちが大事なの?」をデフォルメしたような台詞。しかしそもそも、未就学児の子どもを保育園に預けて働き、祖父母やシッターなど子どもが病気になった時にすぐに頼れる人がいない親にとって、子どもが発熱したと連絡を受ければ、「子どもをとる」よりほかない状況だろう。選択の余地はない。ひとり親なら自分が仕事を切り上げて迎えに行くしかないし、夫婦共働きなら父や母のどちらか迎えに行く。子どもと仕事、どちらをより大事に思っているかという親の気持ちの問題ではないのだ。

 さらにお迎えにかけつけた母親の「ママわるかった。ホンッットごめん。おむかえおそくなっちゃったもんね、ママ。どうしよう、さいていだよね。もうおしごとなんかやめてほいくえんちゃんとずっとずーっといっしょにいようかな」という台詞。絵本に出てくる母親は、お迎え要請を受けたにもかかわらず2時間半も働いていた、という背景も関係しているのだろうが、随分と仕事の扱いが軽いことに驚かされる。

 仕事と子ども、どちらが大切かなどと天秤にかけることなく、ごく普通に働きながら子育てが出来る社会にしていこう。母親ひとりで何もかもこなすなんて無理なのだから、父親も同じようにやろう。そのような働き方を認めよう。いろいろな保育サービスを利用できるよう拡充していこう……。のぶみが描く世界観はどれも、そうした社会の動きに逆行していないだろうか。これが母と子のための絵本として大々的にセールスされていくことへの批判は当然、あってしかるべきだろう。

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