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大坂なおみ選手の「日本人初優勝」をバッシングする排他的な声

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大坂なおみインスタグラムより

 9月8日、ニューヨークで行われた女子テニス全米オープン決勝。大坂なおみ選手(20)が、元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ選手(36)を破り、初優勝を飾った。しかし日本人選手初となる同大会優勝の快挙にも、大坂選手の表情が晴れることはなかった。

 表彰式は、観客の大ブーイングが沸き起こる異例の事態となった。優勝した大坂選手に笑顔は見られない。インタビューマイクを向けた司会者は、「(大坂選手の優勝は)私たちの求める結果ではなかったけれど」と、意地悪く前置きした。大坂選手はサンバイザーで顔を隠して表情を見せまいとしていたが、「みんな彼女(=セリーナ選手)を応援していたのを知っている。こんな終わり方ですみません。ただ試合を見てくれてありがとうございます。本当にありがとう」と、涙を浮かべて謝罪した。会場は静まり返ったという。

 会場のブーイングは、試合中にトラブルを起こしたセリーナ選手や審判に対するものだっただろうか。それとも、セリーナの全米制覇を期待したファンによる、大坂選手への悪意だったのだろうか。真相は定かではないが、どちらにせよ、優勝者として登壇した大坂選手にとって残念な感情を抱かせるものだったことには違いない。もしこれが、スポーツとナショナリズムを混同させた結果だとしたら、多様性を標榜するアメリカはあまりにも情けない姿を全世界にさらしたことになる。

 米ニューヨークポスト紙は、今大会の出来事を、〈USオープンは恥を知るべき、これ以上にスポーツマンらしくない出来事があったか思い出すのに苦労する〉と、痛烈に批判している。

大坂なおみ選手は日本で祝福されているか?

 「日本人初優勝」の快挙を成した大坂選手だが、日本でも妙なバッシングが起きている。ネットでは、「すごいけど、日本人の自分からすれば日本人初とか言われると疑問符」「カタコトの日系黒人が日本国籍とって試合に出てるっていうだけで、日本人とはいえない」「羽生結弦や内村航平が金メダル取ったときの嬉しさとは違うよ、正直」といった声が上がっているのだ。

 大坂選手は、カリブ海の島国・ハイチ出身で米国人の父親と、日本人の母親をルーツに持つ。大阪市で生まれたのち3歳でアメリカにわたり、現在はフロリダを拠点にプロテニス選手として活動している。現在は日本と米国の国籍を持つ(22歳までは二重国籍が認められている)が、テニスプレイヤーとしての国籍は日本を選択している。

 この複雑な出自から、大坂選手を「日本人じゃない」と評したうえ、大坂選手の見た目が“日本人らしくない”こと、日本語を流暢にしゃべれないことに対するバッシングまで見られる。いずれも「日本人」として、同質性を求め、異質なものを排除しようとする狭量な人々によるものだ。

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