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東京医科大学の不正入試を正当化する「週刊現代」のグロテスクな性差別

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「週刊現代」(講談社)2018年9月22日・29日号

 東京医科大学による不正な得点操作の問題は波紋を呼び続けている。文部科学省は緊急で全国の大学の医学部における入試状況を確認するなど、改めて日本社会における女性差別を浮き彫りにしたこの問題には徹底的にメスを入れられている。

 そんななか、「週刊現代」(講談社)2018年9月22日・29日号が社会の動きとは逆行するような記事を出した。「医療特集 いま本音で語らないと大変なことになる 大激論 女性医師を増やすのは国民にとって幸せか 命にかかわる、新聞がなんと言おうと 女性医師の手術はいやだ」と題した特集記事である。

 東京医科大学が一連の不正入試を行った背景には、同大学を卒業した女性医師が結婚や出産を理由に離職すれば系列の病院で医師が不足する恐れがあったとされているが、この不正入試を擁護する人のなかには「過重労働を強いられる現場を支えるためには、妊娠・出産で一時仕事を休まざるを得ない女性の数を抑制する必要がある」という意見を述べる者も少なくない数いる。

 「週刊現代」の当該記事でも、関西在住の外科勤務医の弁として<産休や子育てに対応できるほど勤務時間を短縮しようとすれば、外科医の人数を増やして交代制にするか、仕事量を減らすしかありません。しかし交代制にするためには、病院の外科医の定員を少なくとも現在の倍にする必要がありますが、医師の供給源である大学の医局にそれほどの外科医はいません>との主張が紹介されている。

 医療、特に外科における現場の最前線の状況はその通りなのだろう。しかし、その対策として「女性が医師になりにくいようにする」という方法をとることが最適解なのだろうか。

 過重労働をいかにして減らし、医師が働きやすい環境を整えるかということをこそ考えるべきで、そうでない限り、医療現場の崩壊は避けられない。

 というのも、過重労働が大きな負荷となるのは男性医師にとっても同じだからだ。実際、ワークライフバランスが保てないないうえ、それに見合う待遇も得られないことから、外科は若い医師から敬遠される傾向がある(東京慈恵会医科大学外科学講座・川瀬和美「医師のワークライフバランス維持に必要なものは何か 日本外科学会アンケートから見えてきたもの」より)。

 しかし、「週刊現代」が「女性医師を増やすのは国民にとって幸せか 命にかかわる、新聞がなんと言おうと 女性医師の手術はいやだ」なる記事を掲載したのにはまた別の考えがありそうだ。

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