東京医科大学の不正入試を正当化する「週刊現代」のグロテスクな性差別

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 同特集では、医学部を受験する女性は男性に比べてペーパーテストの点数は良くても、医師としての「覚悟」が足りないと糾弾する。医学部の受験では面接があり、医師としての適正などが見極められるが、ある私大医学部で面接官の経験がある医師のコメントとしてこんなことが語られていた。

<私は面接で気をつけていることがあります。それは『医師を志した理由』です。女子の中には、『両親が医者なので……』と答える子がいる。私の経験上、親から言われて医者になる人は、とくに女性は医師免許さえ取れればいいと考えている人が多い。だから、研修医になっても手術現場を一番後ろで見ていますし、メモを取らないケースも多い。そういう人が外科医になってメスを持ったとしても、私は命を預ける気がしません>

 言いがかりも甚だしい差別的言動だが、このようなグロテスクな性差別は同特集の根底に流れているものである。

 「週刊現代」は、先に引用した2018年9月22日・29日号の記事の前にも「女性医師」をテーマにした特集を組んでおり、9月1日号には「東京医大の入試不正で国民的議論 試験の点数だけで選ぶと、こうなる 医者は女性が8割に でも彼女たちは外科医にならない 手術できない医者ばかりで、本当にいいのか」、9月8日号には「国民的議論第二弾 朝日新聞には申し訳ないが やっぱり医者は男のほうが安心する」なる記事が掲載されている。

 そのうち9月1日号の特集には、フリーランスの女性麻酔医・筒井冨美氏による驚くようなコメントが掲載されていた。医師を志す女性たちは、医学を学んだり、人の健康や命を救うために医者になるのではなく、「医者の夫を見つける」ために医師になろうとするのだと言うのである。

<ここ10年、医療界でも産休育休・時短勤務の制度が整い、成績優秀な女子高生が医大に集中するようになりました(相対的に、男子受験生が弾かれる)。彼女たちは、医師になったあとは、スキルを磨くよりも、医師の夫を見つけることに励み、結婚し妊娠すれば、産休・育休を取得します。
 出産後に復職しても、『手術はしない』、『子持ちはキツい仕事を免除してもらう』、『週3回のパート勤務で十分』という姿勢の女医が増加中です。東京医大の不正入試には、こうした女医の対処に困ったという側面もあるのではないでしょうか>

 こんな侮蔑的な言葉が大手出版社の講談社によって刊行されている週刊誌に掲載された事実に呆然としてしまうが、要するに、医者のようなエリートな職業に女性が進出することに対する嫌悪感がまず前提としてあり、東京医科大学が発表した不正入試の理由を擁護しながら、「医療現場の現実に即せば致し方ない」といった説明をするのは詭弁に過ぎないというわけだ。

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