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医療関係者の8割が「患者にイラっとした」経験アリ

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Thinkstock/Photo by hironakajima

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 厚生労働省は9月4日、患者が医療機関を利用した時の状況や満足度などをまとめた「平成29年受療行動調査の結果」を発表した。同調査によると、59.1%と6割近い外来患者が病院に対して満足していると回答し、調査を始めた1996年以降で最高の結果となった。

 満足度が高かった項目は「医師以外の病院スタッフの対応」(58.8%)、「医師との対話」(57.0%)など、医師やスタッフとのコミュニケーションに満足している人が多いようだ。また、入院患者の満足度は66.9%と2014年よりも0.6ポイント減少したが、高い水準をキープした。

患者にイラッとした医療関係者は約8割

 医療現場での患者対応の良さが伺える結果となったが、この満足度の高さは医療スタッフの我慢の上に成り立っているのかもしれない。医療・介護の総合情報サイト「CBnews」が医療関係者130人を対象に実施したアンケート調査によると、「患者にイラっとしたことがあるか」を聞くと76.9%の人が「ある」と答えた。約8割の医療関係者が患者に腹を立てた経験があるようだ。

 患者のどういったことに腹を立てたのかについては、回答者からこのような意見が寄せられている。

「(患者が)タバコを買いたい」と言ってきかない(40歳代・コメディカル)
「タクシー代がもったいないので、帰りの救急車を呼んでほしい」と要求された(40歳代・事務職)
「看護師なんだから黙って言われた通りにしたらいいんだ」と言われた(50歳代・看護師)

 数年前から「モンスターペイシェント」という言葉も耳にするようになり、非常識な客に振り回されるサービス業は飲食店や小売店に限らず、あらゆる業種でクレーマーが悩みのタネになっていることがうかがえる。一部の尊大な客や患者が過剰なサービスを要求し、現場を疲弊させている側面があることは間違いないだろう。

医療現場のメンタルヘルスを守らなくてはいけない

 「日本医師会 勤務医の健康支援に関する検討委員会」が2016年に発表した「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」によると、5人中1人の医師が「自分は健康ではない」と自覚しており、3.6%が「自殺や死を毎週・毎日具体的に考える」と回答している。

 また、2012年と少し古い調査結果ではあるが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」では、メンタルヘルスに問題を抱えている労働者の平均は56.7%だったのに対し、「医療・福祉」で働く人は76.6%と平均よりも20ポイントも高かった。

 9月3日に厚生労働省が「医師の働き方改革に関する検討会」を開催するなど、医療現場にもようやく働き方改革の気配が出てきた。医師をはじめ医療スタッフが働きやすい環境作りは、ひいては医療サービスにアクセスする全ての患者に恩恵をもたらすはずである。

宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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