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テニス全米オープン決勝の警告は性差別だった。半世紀近く変わらないテニス界の差別構造

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セリーナ・ウィリアムズInstagramより

 9月8日に行われたテニス全米オープン決勝戦(セリーナ・ウィリアムズ対大坂なおみ)をめぐって議論が噴出している。この試合ではゲーム運びに納得のいかないセリーナ・ウィリアムズが激高してラケットを壊したり、審判に詰め寄って罵声を浴びせたことでペナルティーを科せられるなどして、荒れた試合展開となった。また、試合終了後には会場から大ブーイングが起きるなど、前代未聞の全米オープン決勝戦となったわけだが、この報道に関して日本では大きな誤解が広がっているようだ。

 本題に入る前にまず試合の流れを簡単に振り返っておくと、セリーナ・ウィリアムズはスタンドにいたコーチから認められていない指導を受けたとして1度目の警告を受けた。その後、ラケットを叩き壊した際に2度目の警告を受け、罰則として1ポイントが大坂なおみに与えられた。これに納得のいかないセリーナ・ウィリアムズが主審のカルロス・ラモスに対して「(ポイントを自分から奪った)泥棒」などの暴言を放ったことで3度目の警告を受け、これにより大坂なおみには1ゲームが加算されている。結果的にセリーナ・ウィリアムズは大坂なおみに敗退し準優勝となったが、この試合で3度警告を受けた罰金を科されることになり、賞金から計1万7000ドル(約190万円)が引かれるという。

 セリーナが試合中に怒りを露呈させたのは、大坂のプレーに負けて思うようなテニスができなかったワガママによるものではない。主審の判定に疑問を抱かざるを得ない点が多かったからだ。また、試合後に客席からブーイングが起こったのも、地元出身のスター選手が優勝することができなかったからではなく、選手に対する敬意に欠いたジャッジを繰り返した審判に対するものである。

 というのも、セリーナが試合中に口にした言葉は、もしもこれが男子テニスの試合であればペナルティーを科されるようなものではなかった。

 試合後、セリーナは<『泥棒』呼ばわりされたからと、(ラモス主審が)男子選手にゲーム・ペナルティーを科したことはない>(2018年9月10日付ニュースサイト「BBC NEWS JAPAN」より)と発言しているが、これは負け惜しみで言っているわけではないし、敗北の原因を性差別につなげて話をすり替えているわけでもない。

 事実、ラモス主審の判定には多くの人が異議を唱えている。

 女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は<男女で許容される感情表現の基準に違いがあってはならないと考え、全選手が等しく扱われるようにしている。昨日はこれが行われたとは思わない>(2018年9月10日付ニュースサイト「SANSPO.COM」)と指摘した。

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