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元虐待加害者「当時は罪悪感がなかった」 加害者フォローも虐待問題の課題

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Thinkstock/Photo by Tzido

 9月8日の『NEWSな2人』(TBS系)では、虐待加害者へのインタビューを放送し、話題となった。番組では、虐待やDV、ストーカーなど、あらゆる暴力の加害者がグループワークを通して更生する施設「NPO法人 女性・人権支援センター ステップ」を加藤シゲアキと小山慶一郎が訪問。虐待が原因で妻と2人の娘に失踪された過去を持つ、50代の男性・田中さん(仮名)に話を聞いた。

「自分が正しいことを証明しに施設に来た」

 田中さんが同施設を利用したのは、「自分がDV加害をやってないことを証明したかった」と、無実を晴らすためだったという。ただ、「最初2時間ほど個人面談をさせてもらって、その時に自分が加害行為をかなりやってたのを認識できた」そうで、初回で自身の加害行為を自覚し、通所するようになった。

 田中さんが無自覚に行っていた子どもへの虐待内容は、次のようなものだった。

「運動ができなかったりしたので、無理やり泣きながら鉄棒をやらせてみたり。ピアノも習わせていたんですけど、2小節3小節ができなかったりすると、泣こうが喚こうができるまで2時間でも3時間でもやらせた。机をバンバン叩いて、脅すような、恫喝するような行為してみたり。一番ひどかったのはテレビを壊す」

 虐待をしていた当時の心境については「当時は罪悪感がなくて、自分が正しいのに『なんで相手は従わないんだ?』って。自分の意見が通らないことに、ものすごい怒りを感じてしまう。違う意見を言われると攻撃されたような気分になる。なので、相手をコントロールして言うことを聞かそうと」と振り返る。自身が常に正しいという意識があったため、妻や子どもが意に沿わないと簡単に逆上してしまったらしい。

「親も自分の前で夫婦喧嘩するのが当たり前だった」

 さらに、田中さんは「(妻から)喧嘩になった時『子どもがまだ起きてるから後にしよう』って言われたことがあったんですけど、僕は『何が問題なんだ』と返したんですよ」と、夫婦喧嘩についても振り返った。激しい夫婦喧嘩を子どもに見せることも虐待になるが、当時はこれも特に問題だとは思っていなかったそうだ。

 それは、田中さん自身の幼少期に由来する。「子どもの頃、両親が目の前で殴る蹴るの暴行が頻繁にあって、そういうのを見て育ってるので」。DVが日常茶飯事の家庭で育ったため、子どもの前で喧嘩することに疑問を感じなかったという。

 今の心境について聞かれた田中さんは、「(同施設に通いだし)最初の半年は『相手がこうしたから怒っちゃったんだよね』っていう感覚がどこかにはあったんですけど、今はやってきたことに対する申し訳なさ……」と罪悪感を口にする。

 続けて「以前の自分は、理想の自分が頭で描かれてて、子どもに対しても理想の子ども像を押し付けようとしてて、それが叶わないことに常にイライラしてた」と、当時の心境を俯瞰して分析できるまでになっていた。

加害者支援の充実も急務

 厚生労働省は先月、2017年度に全国の児童相談所が対応した18歳未満の子どもへの虐待件数は13万3778件だったと発表した。前年度より1万1203件も増えており、調査を始めた1990年度から27年連続で増え続けている。

 現在、政府は虐待被害者を守り、支援する施策を推し進めているが、加害者更生の取り組みに関してはまだ不十分だ。長崎県で昨年初めて発足された、DV加害者の更生を支援する民間団体「ながさきDV加害者更正プログラム研究会」の代表を務める宮本鷹明氏は毎日新聞の記事内で、「日本では加害者更生に関する支援体制や法整備が整っていない」と話している。

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宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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