政治・社会

高校バレー部員自殺の背景めぐり調査 体罰ありきのスポーツ指導、根絶を

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Thinkstock/Photo by osheaphotography

 岩手県立不来方高のバレーボール部に所属していた男子生徒(3年)が今年7月に自殺した事件で、男子生徒の遺族が「顧問の40代男性教諭の厳しい指導に原因」と訴えていることが9月6日までにわかった。県教委は第三者委員会を設置し、自殺の背景を調査するようだ。学校側は体罰などの行き過ぎた指導はなかったと因果関係を否定しているが、県教委の実施した聞き取り調査によれば、過去に顧問が男子生徒を厳しく叱責するなどがあったとしている。

 因果関係については詳細な調査を待つしかないが、誤った価値観に基づくスポーツ指導を問題視する動きは急速に高まっており、特に今年はスポーツ指導におけるパワーハラスメントの表面化が後を絶たない。また2012年には、大阪市立桜宮高校のバスケットボール部に所属していた生徒が、当時の顧問からの度重なる体罰を苦に自殺する痛ましい事件が起きている。

体罰の件数は減っているけど…

 では「学校」という場における体罰の認知件数は、この数年でどのような変動を見せているのだろうか。東京都教育委員会は今年、都内の公立学校を対象に実施した「2017年度に発生した体罰に関する実態調査」を発表した。その結果、教職員による「体罰」は22人で、前年度の34人から12人に減り、調査を開始した2012年度の182人から約8分の1まで減少した。

 体罰は減少傾向にあると言えそうだが、一方で「暴言」(123人)は前年度の114人より増加している。これは、身体への暴力が心の暴力に移っただけという見方もできるのではないか。

変わろうとしているサッカー界

 運動部では「根性論の押し付け」や「長時間練習の礼賛」など、“古い指導方針”も根強い。ただ、サッカー界では指導者の育成を徹底し、旧態依然の構造から脱しようとしているようだ。

 1990年代にJリーグが開幕したことで、日本サッカー協会は優秀な指導者を育成するため「JFA公認S級ライセンス」というサッカー指導者のライセンス制度を設置。講習会を定期的に実施し、指導者がトップレベルの知識や明確な理論を学ぶ場を提供した。さらに、2015年から日本サッカー協会は各大会に「ウェルフェアオフィサー」という見守り役を派遣し、暴力予防の教育やフェアプレーの啓発や促進などを行っている。

 サッカー界を長年取材してきたサッカージャーナリストの元川悦子氏は、読売新聞「深読みチャンネル」の記事にて、こういった日本サッカー協会の働きかけが、多くの指導者のパワハラ体質の指導の限界を知る機会を与え、旧態依然としたやり方を改めた面があると評価している。

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宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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